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「認知症の教室(一般市民用)」で記事を検索しました。

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2020.05.11

認知症の教室(一般市民用)
お家にいよう!だけど外出もしよう!(高齢者市民向け) センター長の石川です 当り前のようにやっていたグランドゴルフや大勢の人の所へのお出掛け、井戸端会議など 全くできなくなりましたね。 法人が行っていたリボンカフェも居酒屋も、ちょっと大きめの様々な行事も軒並み中止になりました。 お家にいよう でも外には出るにゃん コロナウィルスは私たちが思っている以上に厄介で、すぐに収まる、なくなる、そして終了宣言を出せるようなものではなさそうです。 結局のところこのウイルスと同居していかなければならないようです。 つまり、当分は今まで当り前のように行っていた生活とは違う生活スタイルで暮らしていかなければならないということですね。 少なくともワクチンが出来るまでの1年、日本がそれでしのげても、世界各地にワクチンが浸透するまでの3年は、何らかの生活様式の変化が求められるかもしれません。 世界規模で行われるオリンピックは、厳しいかもしれませんね。 大阪市福祉局作成 さて、今は緊急事態宣言が出され、ステイホーム(お家にいよう!)ですが、高齢者の皆さんはお家にい過ぎると、心身ともに不健康になってしまいます。 特に高齢者は歩かないと、たちどころに足腰の筋力は衰え、つまずいて転倒することも十分にあり得ます。 これから暑くなっていきますので、朝夕のまだ気温が低い時に外の空気を吸いに行きましょう! スーパーへの買い物も、ひとつ遠いスーパーまで歩いていくというのもいいかもしれません。 大阪市福祉協が作成した資料を読んでいただき、ウイルスに負けない身体づくりも行ってください。 大阪市福祉局作成      
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2020.04.01

認知症の教室(一般市民用)
認知症の人とのケア物語② センター長の石川です M保健師が連れてきた二人の認知症の人。 Aさんはコミュニケーションがほとんど取れない方でしたが、穏やかな方でした。しかし生活上の何もかもがケアの必要な方です。 もう一人のBさんは、逆にアグレッシブな方でした。とにかく落ち着かない。 すぐに出て行こうとされるし、止めると大声を出し、そして噛みつかれます。 ここでもう一度、当時の特別養護老人ホームの状況を説明しておくと、デイやショートというサービスは、その制度そのものが、ようやく始まったばかりという状況です。 働くケアワーカーたちは、簡単なヘルパー研修を経たうえで働いていますので、今の介護福祉士のような専門的勉強と試験を受けてはいません。 いわゆるシロウト集団と言っても過言ではありません。 それはまだ駆け出しの私も同じようなものです。 まして認知症(当時は痴呆症)の症状については書かれてあっても、ケアの方法など書かれている書籍はほとんどありませんでした。 ですから全てが手探りです。 そして、施設もロックアウトするなどと言うことはなかったので、出て行こうと思えば、いくらでも出ていけたのです。 そのため、出て行く方(当時は徘徊者と呼んでいました)に対しては、一緒についていくしかなかったのです。 因みに当時の入所者へのケアは下記の写真のようなことが当たり前のように各地の施設で行われていました。 私がいた施設ではさすがにここまでのことはなかったですが、これに近いものはあったでしょう。 何をしているところかわからない人もいるかもしれません。 おむつ交換ですね。それを廊下で平気でやっていたのです。 おむつ交換が廊下で当たり前のように行われていました。中央法規出版「認知症の人の歴史を学びませんか」宮崎和加子著より つまり、認知症の人は特にですが、当時の老人ホームでは、人権や尊厳などなく、とにかく必要最低限のケアを行う状況です。 「めんどうみられている、面倒見たってる」という構図そのものだったのです。 さて、Aさんは私が初めて会った認知症の人ですが、今でも名前を憶えています。 やさしい笑顔を浮かべてくれる人でしたが、とにかく話が通じない。 今でこそ、認知症の人とのコミュニケーションについては色々と勉強もできますが、当時は「なんでわかれへんのや?」「それが認知症ちゃうの?」「じゃあどうして伝えるねん?」「こっちの言うことに従わせるしかないやろ」みたいな問答を職員としていたものです。 今となっては正しいとは言えない対応でしたが、とにかく私たちの誘導のままに動いてもらいました。 私たちが本当に困ったのが、アグレッシブでいつも噛みつかれたBさんへのアプローチでした。 (つづく)
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2020.03.31

認知症の教室(一般市民用)
認知症の人とのケア物語① ~40年前~ センター長の石川です これまでの認知症ケアについて、書き綴っていたことがなかったと思い、ぼちぼちではありますが、このブログで書き綴っていこうかなと思います。 私と認知症の人との出会いはかれこれ40年以上も前になるかなと思います。 当時私はM市の特別養護老人ホームに勤務していました。 まだ右も左もわからない時代でしたが、生活相談員(当時は生活指導員と呼んでました)兼介護員(当時は介護福祉士の資格などなく、介護職員のことを寮母と呼んでました。)として、入所の受け入れも行っていました。もちろん当時は介護保険など存在せず、入所は行政による措置入所(「収容依頼書」が送られてくる)という時代です。 そんな時にM市にある保健所のN保健師が、ある人を入所させてほしいと強引に言ってきたのでした。 因みに、この時代は、老人保健施設もグループホームもありません。 サービスとしては、デイサービスもショートステイもようやく始まろうかという時代です。 つまり特別養護老人ホームという入所だけの施設があった時代なのです。 当時の特養は、8~12人部屋というのは当たり前。びっしりと高齢者が値がされていました。中央法規出版「認知症の人の歴史を学びませんか」宮崎和加子著より その時代にあって、私がいた施設はI理事長という全国的にも有名な人がおられる施設でした。 先見性のある人で、私が勤めた時にはデイサービス開設準備室があり、今では当たり前のようにあるデイサービスを、確か日本で2番目に始めた施設でもあるのです。 またショートステイ、ナイトケアなどのサービスも始めた、まさしく現在の高齢者サービスの礎を築いたのがI理事長だと言えます。 そのI理事長にN保健師が直談判してきたのです。 認知症(当時は痴呆性老人と呼んでいました)の人を入所させてほしい!と。 寝たきりになった認知症の人はおられるものの、アクティブな認知症の人を受け入れる特別養護老人ホームは、まだほとんどない時代のことです。 では当時の認知症の人はどこへ行っていたのか? 多くは精神科の病院に入れられ、薬を飲まされ、身体拘束を受け、そして死んでいくか、或いは、家族が丸抱えで家から出さないで介護をしていた時代だったのです。 中央法規出版「認知症の人の歴史を学びませんか」宮崎和加子著より 「あんな薬を飲まされて、縛られてしまうような病院には入れたくない!何とか人間らしく暮らせるようお願いしたい!I理事長の施設ならできるでしょ!」とN保健師は、半ば強引に二人の認知症の人を立て続けに連れてきたのです。 先進的な考えを持つI理事長が断るわけはありません。 当時は「認知症」(痴呆症)の人への知識もケアの方法も全く分からない、いや知らない状態の私たちケアの現場に、突然アクティブな認知症の人がやってきたのです。 (つづく)
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2020.03.27

認知症の教室(一般市民用)
星に願いを 認知症の人には笑顔を センター長の石川です コロナウイルスの状況はますます悪化しますね。 ついに阪神タイガースの選手まで罹患してしまいました。 一体、どこで移るのか? 今までは明確なつながりが見えていましたが、 これからは一体どこで移ったのか?と、わからない状況が増えてきます。 不要不急の外出を控えろと言われると、 たとえ人里離れたところに行くと言っても 星空撮影にも行けなくなります(泣) 人それぞれに、皆さんも楽しみが出来なくなってしまいますね。 まるで宇宙の蝶のような、或いは巨大なクリオネのような、オリオン大星雲です。 さて、認知症の人も世間の空気は読み取れます。 テレビから流れるニュースも、その内容の明確な理解はできなくても、 社会不穏は感じ取るでしょう。 普段とは違う私たちが抱いている「不安」も、敏感に感じとることもできます。 認知症の人の「不安」をやわらげるのは、 何よりも「笑顔」、 そして、「ゆっくりと落ち着いた言葉」 手の甲や背中をやさしくさする「スキンシップ」 ですね。 でも、介護者自身が気持ち疲れて、不安定ならなかなか難しいかもしれません。 そんな時は、桂枝雀や綾小路きみまろのDVDなどを借りて見るのがいいでしょう。 こんな時こそ、「笑う」ことが大切です。 オリオンの三ツ星の下にオリオン大星雲はあります。でも間もなく見れなくなります。 私は、星空にコロナウイルスの終息を願うのみです。 今回はオリオン大星雲に。
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2020.02.28

認知症の教室(一般市民用)
コロナウィルスが襲ってきても センター長の石川です コロナウィルスが襲って来ようが介護家族の大変さは待ったなしですね。 認知症の当人にとっては、むしろ不安、混乱を引き起こすことが増える、つまり介護家族の負担も増えるということになります。 マスクをしてほしいと言っても当然わからないし、つけても外してしまう。 手を洗ってほしいと言っても洗えない。 うがいとなるとさらに難しくなります。 不要不急の外出はするなと言われても、勝手に出ていくし、病院に行かなければお薬が切れるということもあると思います。 まさしく、認知症の人にとっても、介護家族にとっても不安と混乱を増幅させている現状と言えるかもしれません。 とりあえず、衛生面については、何もできないと思うよりは、少しでもやってみることで随分違ってくると思います。 例えば、手洗いは流水に手を当てるだけでも(できたら手をこする)随分違うでしょう。 うがいはできないで当たり前。むしろ一般的にもうがいが届くのはのどの手前くらいなので、お茶お水をこまめに飲むこです。のどについたウィルスを洗い流す方が良いとされています。強力な胃液がウィルスをやっつけてくれます。機会あるごとに、こまめに水分摂取を進めてください。 マスクは自分もつけるところを見せながら、一緒につける。でもすぐに取ってしまうかもしれませんが、そこは根気よく続けてみます。しかしそもそもがマスクがないというのが最大の問題ですね。 外へ出ていってしまうことに関しては、積極的に前もって一緒に散歩に出ることです。 どうしても今は籠る、押さえる方向に行ってしまいますが、人が多いところではない公園などへの散歩を先に行うこともいいかもしれません。 もっとも、それが可能かどうかという家族の状況にもよりますし、認知症の人本人の理解度によっても違ってくるでしょう。 ただ、世の中の状況で、介護者が不安の表情を募らせると、認知症の人本人も不安を大きくさせます。 できるだけ「なんとかなるさ、ケセラセラ」くらいの笑顔を「作り」でもいいから見せてあげてください。 こんな時だからこそ、気持ちをポジティブに。 https://www.youtube.com/watch?v=oVGgJXjjhFc ご家族様のストレスが溜まった場合は、愚痴の発散でもいいのでご連絡ください。
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2019.12.27

認知症の教室(一般市民用)
認知症予防の確立性 センター長の石川です。 最近特に注目されている認知症予防ですが、 ロンドン大学のクラウディア・クーパー教授によると、 確実に予防できるとわかっているものがあるそうです。 高血圧、肥満、糖尿病などのいわゆる生活習慣病、喫煙や運動不足、社会的孤立など、これらが認知症になる原因の35%と言われています。 つまり、これらのことにならないようにすることで、 認知症にならない確率が35%になるということです。 では残りの65%はというと、 確実に予防になる根拠が示されたものは、まだ、ないということです。 まずは確実な35%を増やすためには、生活習慣病に気を付け、喫煙せず、適度に運動して孤立をなくすということになります。 では残りの65%をどうすればいいのか? それは、来年のお楽しみということで。 さて、先日撮影した太陽の塔イルミナイトの風景です。 この季節、やはりイルミネーションが似合います。 夏が花火なら、冬はイルミネーション そういえば、最近は「家ナリエ」少なくなりましたね。 もう見栄張る君はブームが去ったのかな? ちなみに私の耳は耳鳴りで「ミミナリエ」状態ですが(苦笑)
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2019.09.10

認知症の教室(一般市民用)
認知症の人の頭の中はゴミで一杯なのか? センター長の石川です。 チームオレンジの説明会があった時のことです。 ある地域の方より、全国キャラバンメイト連絡協議会が発行した「つなぎのための情報整理・認知症の理解」という冊子の中の「ゴミのたまる認知症」という表現が、いかがなものかという意見がありました。 冊子7ページより 認知症の当事者の方が読み、「私たちの頭の中はゴミだらけなのか」と不快に思ったとのことでした。 最近では、認知症発症の要因として、たんぱく質のごみが脳に溜まって、そのたまったものが神経細胞を死滅させてしまうということがわかっており、諸先生方も講義でもよく使われています。 ある意味一般的に使われだしたとも言えます。それゆえ、この冊子にもごく普通に載っていたのでしょう。 しかし、「ゴミ」は汚いもの、不要なものという認識が私たちにはあります。 いくらたんぱく質のごみと説明されても、「私の頭の中は汚いゴミだらけなのか!?」と思ってしまい、不快な思いをされるのは当然のことだと思います。 特にこの冊子では、ゴミが強調され過ぎているとも言えます。 神経を死滅させる物質が蓄積されるなどの表現の方がいいかもしれません。 いつも何気なく使っている表現が、実はとても相手を傷つけているということあるかもしれませんね。 他人ごとではなく、自戒を込めて。
ブログ投稿画像 センター長の石川です 当り前のようにやっていたグランドゴルフや大勢の人の所へのお出掛け、井戸端会議など 全くできなくなりましたね。 法人が行っていたリボンカフェも居酒屋も、ちょっと大きめの様々な行事も軒並み中止になりました。 [caption id="attachment_1155" align="aligncenter" width="650"] お家にいよう でも外には出るにゃん[/caption] コロナウィルスは私たちが思っている以上に厄介で、すぐに収まる、なくなる、そして終了宣言を出せるようなものではなさそうです。 結局のところこのウイルスと同居していかなければならないようです。 つまり、当分は今まで当り前のように行っていた生活とは違う生活スタイルで暮らしていかなければならないということですね。 少なくともワクチンが出来るまでの1年、日本がそれでしのげても、世界各地にワクチンが浸透するまでの3年は、何らかの生活様式の変化が求められるかもしれません。 世界規模で行われるオリンピックは、厳しいかもしれませんね。 [caption id="attachment_1517" align="aligncenter" width="650"] 大阪市福祉局作成[/caption] さて、今は緊急事態宣言が出され、ステイホーム(お家にいよう!)ですが、高齢者の皆さんはお家にい過ぎると、心身ともに不健康になってしまいます。 特に高齢者は歩かないと、たちどころに足腰の筋力は衰え、つまずいて転倒することも十分にあり得ます。 これから暑くなっていきますので、朝夕のまだ気温が低い時に外の空気を吸いに行きましょう! スーパーへの買い物も、ひとつ遠いスーパーまで歩いていくというのもいいかもしれません。 大阪市福祉協が作成した資料を読んでいただき、ウイルスに負けない身体づくりも行ってください。 [caption id="attachment_1518" align="aligncenter" width="650"] 大阪市福祉局作成[/caption]      
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 今回も柔らかい話題です。 昨日は満月 フラワームーンと呼ばれるそうです。 お天気が良く、しっかりと輝いていましたね。 [caption id="attachment_1503" align="aligncenter" width="650"] どこがフラワーやねんって思ってしまいますね。[/caption] 認知症の人と家で過ごす時間が多くなっている人も多いかと思います。 様々なことがわからなくなって、コミュニケーションもうまく取れないことも多いかと思います。 しかし、感じる力はしっかりと残っています。 四季折々の変化を伝えていくことは大切ですね。 どうせすぐ忘れてしまうから無駄なことと思わないでください。 認知症の人には一瞬一瞬に感じたことがとても大切なのです。 [caption id="attachment_1502" align="aligncenter" width="650"] 適当な合成。時間があれば切り抜きしました。[/caption] 「今日は満月だよ、大きいね~」って語り合ってください。 花々も一杯咲いています。木々の緑もきれいです。 それらを見て声を掛けることが、感じる力を育んでいきます。 自然の変化を大いに活用しましょう。 [caption id="attachment_1501" align="aligncenter" width="650"] これはお月さんか?[/caption] [caption id="attachment_1445" align="aligncenter" width="650"] ソーシャルディスタンス守りましょう![/caption]  
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 毎回コロナ情報をお伝えしたりしていますが、今回は認知症の人のお話。 私が時々研修で使う3分ほどの短いビデオがあります。 その短い時間の中に、今目の前に見えている認知症の人の行動の大変さに囚われるのではなく、 その人にも一生懸命生きてきた人生があるということ、 その一生懸命生きてきた人生に敬意を示すこと。 つまり、それが認知症ケアの基本的姿勢になること。 この短い映像の中に描かれています。 ご覧ください 👇 https://www.youtube.com/watch?v=tIudBRsTOw8&t=11s   と、なんとこのビデオ、種明かしすると「銀のさら」のCMなんですよね~ この「銀のさら」のCMは他にもたくさんあります。それは上記のようなまじめなものと言うより、笑えるCMがほとんどです。 この場ではその笑えるCMは不謹慎と思われても困るので載せませんが、 お家で楽しまれる分にはいいのではないでしょうか。 笑うことは大切です。難しく考えすぎず、笑いましょう。(人を馬鹿にした笑いはダメですよ!) 笑いは免疫力を高める薬にもなります。 [caption id="attachment_1445" align="aligncenter" width="650"] ソーシャルディスタンス守りましょう![/caption]
ブログ投稿画像 センター長の石川です M保健師が連れてきた二人の認知症の人。 Aさんはコミュニケーションがほとんど取れない方でしたが、穏やかな方でした。しかし生活上の何もかもがケアの必要な方です。 もう一人のBさんは、逆にアグレッシブな方でした。とにかく落ち着かない。 すぐに出て行こうとされるし、止めると大声を出し、そして噛みつかれます。 ここでもう一度、当時の特別養護老人ホームの状況を説明しておくと、デイやショートというサービスは、その制度そのものが、ようやく始まったばかりという状況です。 働くケアワーカーたちは、簡単なヘルパー研修を経たうえで働いていますので、今の介護福祉士のような専門的勉強と試験を受けてはいません。 いわゆるシロウト集団と言っても過言ではありません。 それはまだ駆け出しの私も同じようなものです。 まして認知症(当時は痴呆症)の症状については書かれてあっても、ケアの方法など書かれている書籍はほとんどありませんでした。 ですから全てが手探りです。 そして、施設もロックアウトするなどと言うことはなかったので、出て行こうと思えば、いくらでも出ていけたのです。 そのため、出て行く方(当時は徘徊者と呼んでいました)に対しては、一緒についていくしかなかったのです。 因みに当時の入所者へのケアは下記の写真のようなことが当たり前のように各地の施設で行われていました。 私がいた施設ではさすがにここまでのことはなかったですが、これに近いものはあったでしょう。 何をしているところかわからない人もいるかもしれません。 おむつ交換ですね。それを廊下で平気でやっていたのです。 [caption id="attachment_1402" align="aligncenter" width="650"] おむつ交換が廊下で当たり前のように行われていました。中央法規出版「認知症の人の歴史を学びませんか」宮崎和加子著より[/caption] つまり、認知症の人は特にですが、当時の老人ホームでは、人権や尊厳などなく、とにかく必要最低限のケアを行う状況です。 「めんどうみられている、面倒見たってる」という構図そのものだったのです。 さて、Aさんは私が初めて会った認知症の人ですが、今でも名前を憶えています。 やさしい笑顔を浮かべてくれる人でしたが、とにかく話が通じない。 今でこそ、認知症の人とのコミュニケーションについては色々と勉強もできますが、当時は「なんでわかれへんのや?」「それが認知症ちゃうの?」「じゃあどうして伝えるねん?」「こっちの言うことに従わせるしかないやろ」みたいな問答を職員としていたものです。 今となっては正しいとは言えない対応でしたが、とにかく私たちの誘導のままに動いてもらいました。 私たちが本当に困ったのが、アグレッシブでいつも噛みつかれたBさんへのアプローチでした。 (つづく)
ブログ投稿画像 センター長の石川です これまでの認知症ケアについて、書き綴っていたことがなかったと思い、ぼちぼちではありますが、このブログで書き綴っていこうかなと思います。 私と認知症の人との出会いはかれこれ40年以上も前になるかなと思います。 当時私はM市の特別養護老人ホームに勤務していました。 まだ右も左もわからない時代でしたが、生活相談員(当時は生活指導員と呼んでました)兼介護員(当時は介護福祉士の資格などなく、介護職員のことを寮母と呼んでました。)として、入所の受け入れも行っていました。もちろん当時は介護保険など存在せず、入所は行政による措置入所(「収容依頼書」が送られてくる)という時代です。 そんな時にM市にある保健所のN保健師が、ある人を入所させてほしいと強引に言ってきたのでした。 因みに、この時代は、老人保健施設もグループホームもありません。 サービスとしては、デイサービスもショートステイもようやく始まろうかという時代です。 つまり特別養護老人ホームという入所だけの施設があった時代なのです。 [caption id="attachment_1395" align="aligncenter" width="650"] 当時の特養は、8~12人部屋というのは当たり前。びっしりと高齢者が値がされていました。中央法規出版「認知症の人の歴史を学びませんか」宮崎和加子著より[/caption] その時代にあって、私がいた施設はI理事長という全国的にも有名な人がおられる施設でした。 先見性のある人で、私が勤めた時にはデイサービス開設準備室があり、今では当たり前のようにあるデイサービスを、確か日本で2番目に始めた施設でもあるのです。 またショートステイ、ナイトケアなどのサービスも始めた、まさしく現在の高齢者サービスの礎を築いたのがI理事長だと言えます。 そのI理事長にN保健師が直談判してきたのです。 認知症(当時は痴呆性老人と呼んでいました)の人を入所させてほしい!と。 寝たきりになった認知症の人はおられるものの、アクティブな認知症の人を受け入れる特別養護老人ホームは、まだほとんどない時代のことです。 では当時の認知症の人はどこへ行っていたのか? 多くは精神科の病院に入れられ、薬を飲まされ、身体拘束を受け、そして死んでいくか、或いは、家族が丸抱えで家から出さないで介護をしていた時代だったのです。 [caption id="attachment_1396" align="aligncenter" width="650"] 中央法規出版「認知症の人の歴史を学びませんか」宮崎和加子著より[/caption] 「あんな薬を飲まされて、縛られてしまうような病院には入れたくない!何とか人間らしく暮らせるようお願いしたい!I理事長の施設ならできるでしょ!」とN保健師は、半ば強引に二人の認知症の人を立て続けに連れてきたのです。 先進的な考えを持つI理事長が断るわけはありません。 当時は「認知症」(痴呆症)の人への知識もケアの方法も全く分からない、いや知らない状態の私たちケアの現場に、突然アクティブな認知症の人がやってきたのです。 (つづく)
ブログ投稿画像 センター長の石川です コロナウイルスの状況はますます悪化しますね。 ついに阪神タイガースの選手まで罹患してしまいました。 一体、どこで移るのか? 今までは明確なつながりが見えていましたが、 これからは一体どこで移ったのか?と、わからない状況が増えてきます。 不要不急の外出を控えろと言われると、 たとえ人里離れたところに行くと言っても 星空撮影にも行けなくなります(泣) 人それぞれに、皆さんも楽しみが出来なくなってしまいますね。 [caption id="attachment_1383" align="aligncenter" width="650"] まるで宇宙の蝶のような、或いは巨大なクリオネのような、オリオン大星雲です。[/caption] さて、認知症の人も世間の空気は読み取れます。 テレビから流れるニュースも、その内容の明確な理解はできなくても、 社会不穏は感じ取るでしょう。 普段とは違う私たちが抱いている「不安」も、敏感に感じとることもできます。 認知症の人の「不安」をやわらげるのは、 何よりも「笑顔」、 そして、「ゆっくりと落ち着いた言葉」 手の甲や背中をやさしくさする「スキンシップ」 ですね。 でも、介護者自身が気持ち疲れて、不安定ならなかなか難しいかもしれません。 そんな時は、桂枝雀や綾小路きみまろのDVDなどを借りて見るのがいいでしょう。 こんな時こそ、「笑う」ことが大切です。 [caption id="attachment_1384" align="aligncenter" width="650"] オリオンの三ツ星の下にオリオン大星雲はあります。でも間もなく見れなくなります。[/caption] 私は、星空にコロナウイルスの終息を願うのみです。 今回はオリオン大星雲に。
ブログ投稿画像 センター長の石川です コロナウィルスが襲って来ようが介護家族の大変さは待ったなしですね。 認知症の当人にとっては、むしろ不安、混乱を引き起こすことが増える、つまり介護家族の負担も増えるということになります。 マスクをしてほしいと言っても当然わからないし、つけても外してしまう。 手を洗ってほしいと言っても洗えない。 うがいとなるとさらに難しくなります。 不要不急の外出はするなと言われても、勝手に出ていくし、病院に行かなければお薬が切れるということもあると思います。 まさしく、認知症の人にとっても、介護家族にとっても不安と混乱を増幅させている現状と言えるかもしれません。 とりあえず、衛生面については、何もできないと思うよりは、少しでもやってみることで随分違ってくると思います。 例えば、手洗いは流水に手を当てるだけでも(できたら手をこする)随分違うでしょう。 うがいはできないで当たり前。むしろ一般的にもうがいが届くのはのどの手前くらいなので、お茶お水をこまめに飲むこです。のどについたウィルスを洗い流す方が良いとされています。強力な胃液がウィルスをやっつけてくれます。機会あるごとに、こまめに水分摂取を進めてください。 マスクは自分もつけるところを見せながら、一緒につける。でもすぐに取ってしまうかもしれませんが、そこは根気よく続けてみます。しかしそもそもがマスクがないというのが最大の問題ですね。 外へ出ていってしまうことに関しては、積極的に前もって一緒に散歩に出ることです。 どうしても今は籠る、押さえる方向に行ってしまいますが、人が多いところではない公園などへの散歩を先に行うこともいいかもしれません。 もっとも、それが可能かどうかという家族の状況にもよりますし、認知症の人本人の理解度によっても違ってくるでしょう。 ただ、世の中の状況で、介護者が不安の表情を募らせると、認知症の人本人も不安を大きくさせます。 できるだけ「なんとかなるさ、ケセラセラ」くらいの笑顔を「作り」でもいいから見せてあげてください。 こんな時だからこそ、気持ちをポジティブに。 https://www.youtube.com/watch?v=oVGgJXjjhFc ご家族様のストレスが溜まった場合は、愚痴の発散でもいいのでご連絡ください。
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 最近特に注目されている認知症予防ですが、 ロンドン大学のクラウディア・クーパー教授によると、 確実に予防できるとわかっているものがあるそうです。 高血圧、肥満、糖尿病などのいわゆる生活習慣病、喫煙や運動不足、社会的孤立など、これらが認知症になる原因の35%と言われています。 つまり、これらのことにならないようにすることで、 認知症にならない確率が35%になるということです。 では残りの65%はというと、 確実に予防になる根拠が示されたものは、まだ、ないということです。 まずは確実な35%を増やすためには、生活習慣病に気を付け、喫煙せず、適度に運動して孤立をなくすということになります。 では残りの65%をどうすればいいのか? それは、来年のお楽しみということで。 さて、先日撮影した太陽の塔イルミナイトの風景です。 この季節、やはりイルミネーションが似合います。 夏が花火なら、冬はイルミネーション そういえば、最近は「家ナリエ」少なくなりましたね。 もう見栄張る君はブームが去ったのかな? ちなみに私の耳は耳鳴りで「ミミナリエ」状態ですが(苦笑)
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 10月19日、アーバンケア島之内地域包括支援センター主催の「家族介護者教室」が開催されました。 今回のテーマは認知症。当初は講義をということだったのですが、 お茶とお菓子を用意してもらって、最初から来られた皆様と話しあう時間を持ちました。 [caption id="attachment_1105" align="aligncenter" width="650"] 介護が大変な人、自分が認知症になるのではないかと心配な人、様々な立場から来られていました。[/caption] 1時間というとても短い時間の中で、それぞれ皆様の思いが一杯あるなか、 話したくても話せなかったことが多々あったのではないかと思います。 それでも認知症の人を抱えるしんどさを、少しは吐き出せたでしょうか。 何度か話し合うことを重ねるうちに、お互いの思いの共有や情報交換ができるようになるでしょう。 [caption id="attachment_1106" align="aligncenter" width="650"] それぞれなりにストレス発散法を持っておられるようです。[/caption] 私がしゃべるより、皆様の経験の話の方がずっと重みがあります。 語り合うことは大切ですね。 そして少しばかし皆様のフォローをできればと思います。 参加された皆様、ありがとうございました。
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 チームオレンジの説明会があった時のことです。 ある地域の方より、全国キャラバンメイト連絡協議会が発行した「つなぎのための情報整理・認知症の理解」という冊子の中の「ゴミのたまる認知症」という表現が、いかがなものかという意見がありました。 [caption id="attachment_991" align="aligncenter" width="650"] 冊子7ページより[/caption] 認知症の当事者の方が読み、「私たちの頭の中はゴミだらけなのか」と不快に思ったとのことでした。 最近では、認知症発症の要因として、たんぱく質のごみが脳に溜まって、そのたまったものが神経細胞を死滅させてしまうということがわかっており、諸先生方も講義でもよく使われています。 ある意味一般的に使われだしたとも言えます。それゆえ、この冊子にもごく普通に載っていたのでしょう。 しかし、「ゴミ」は汚いもの、不要なものという認識が私たちにはあります。 いくらたんぱく質のごみと説明されても、「私の頭の中は汚いゴミだらけなのか!?」と思ってしまい、不快な思いをされるのは当然のことだと思います。 特にこの冊子では、ゴミが強調され過ぎているとも言えます。 神経を死滅させる物質が蓄積されるなどの表現の方がいいかもしれません。 いつも何気なく使っている表現が、実はとても相手を傷つけているということあるかもしれませんね。 他人ごとではなく、自戒を込めて。