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「認知症の教室(専門職用)」で記事を検索しました。

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2022.03.07

認知症の教室(専門職用)
「ありがとう」の言葉  今は「人類」の存在価値が試されているときかもしれません。  科学を発展させ、たぶん、地球上の支配者となっている人類ですが、     戦争という虐殺から、誹謗中傷と言う身近な攻撃まで、     人類は「そこまでの存在」でしかないのかもしれませんね。 そのような時代だから大切にして行きたい言葉 少し長くなりますが、以前に何かに書いたものをここに載せます。 万博公園の梅はほぼ満開です。   ありがとうの言葉「父と子編」 ファミリーレストランで、店員さんが食事を持ってきたときのこと。 「どうもありがとう」とお父さんが言ったのを聞いた子供が、そのお父さんに聞きました。 「お父さんはお客さんなのに、どうしてありがとうって言ったの?」 お父さんはにこっと笑って答えました。 「それはね、料理を作ってくれたこと、その料理を運んでくれたことにありがとうって言ったんだよ。」 「ふ~ん・・・」子どもはいまいち理解できないような顔をして頷き、そして目の前のご馳走を食べ始めたのでした。 しかし、父親のこの行動はいつかきっと子供に反映されるでしょう。 今では珍しいような、親子の会話かもしれません。 だけど、とても大切なEI(感じる知性)を高める場面がそこにあると思いました。 確かにサービスを提供する側にお金を払っている私たちが、 お礼を言わなければならないのはおかしいことかもしれません。 お金を払っているのだから適切なサービスを受けるのは当たり前のことなのだと。 でもここはきっとそんなことを議論するところではないでしょう。 ある日のこと、 バスを降りる子どもが「運転手さんありがとう」と言って降りていくのを見たことがあります。 素直に、「運転手さんいつも安全に運んでくれてありがとう」という意味なのでしょう。 「はい、ありがとう」と微笑んで答える運転手。 そう、難しく考え議論するものでもないのです。 そして先日、知人のあるバス運転手がこう話してくれました。 「お客さんからありがとうって言われると、すごく気持ちがいいし、私も(安全運転への)達成感があります。この一言が、気持ちの豊かさに繋がるんだと思います。」 そう、たった一言だけのこと。 「おいしい料理を作ってくれてありがとう」「重たい料理を運んでくれてありがとう」 「いつも安全運転でありがとう」「寒い中の外でのお仕事ありがとう」「夜遅く、朝早くのお仕事にもありがとう」・・・ 別に緊張して肩肘張って大声で言わなくてもいい。軽く感謝の意を伝えればいいのだ。 気軽に爽やかに、「ありがとう」「おつかれさん」「どういたしまして」「ごめんね」「気にしないで」って言えれば。 でも、そのたった一言を惜しんだために崩れていく人間関係もあるだろう。 むしろ今は、平気で誹謗中傷する時代。 社会的EIが高まるか悪化するかは、その一言が言えるか言えないかにも関わっているかもしれません。 まずは、自戒を込めて。 では、ろくでもないサービスをする人には何と言う? 「とっても不快な思いにさせてくれてありがとう」かな? おそらくそんな人には皮肉も通じないのかな。 多分、人のことばかり言ったり責めたり、そして不快な思いに人を巻き込む人は 時間の大切さを知らないのだと思う。 それはともかく、一生懸命に昼夜を問わずお仕事されている皆さまへ、 いつもいつも、本当にありがとうございます。 縁の下の人の働きがあるからこそ、その上で働く人が動けます。 その上の人が働けるから、縁の下の人が報われます。 苦難多々の状況の中で働いている皆様に 「ありがとう」   ナオト・インティライミ「こころことば」を聴きながら
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2022.01.26

認知症の教室(専門職用)
記憶と感情(7)ケアの現場に伝えたいこと 前回は、何らかのケアを必要とする認知症の人にとって、 最大の環境要因は「人」つまり、ケアに関わる者であり、 私たちこそが、認知症の人の感情を大きく左右する存在なのです と、書きました。 それだけ私たちの存在は、認知症の人にとって重要な存在と言えます。 ならば、私たちはもっと「気づかなければならないこと」が現実の仕事の中で一杯あると言うことです。 しかし実際のケアの現場は、 「できてない」「できない」「わかってない」「わからない」「考えない」「余裕がない」などが散在し、 時に「なんでこんなこともわからんの」或いは「現場のしんどさをわかってもらえない」など 意見の対立に繋がってしまうこともあります。 「もっと私たちの意見も聞いてほしい」という思いもあるかもしれません。 一方で、「やれている」ことも結構あるのです。 それに気づいていないから、「やれている」のに、そのための良い方法がすぐに忘れ去られてしまい、 「わからない」ことが多くなるのです。 「こことここと、こうしたからよくなったんだよ」ということを検証でき、 成功体験を積み上げていくこと。 そうすることで、それこそ今回のテーマである「記憶する」ことに繋がっていくのです。 記憶されれば、次から良い方向に考えていけるのです。 ではどうやって「検証と体験」を積み上げていくのか。 次回「記憶と感情」(8)を載せた後から始めてみたいと考えています。   今回の、クマとウルフの掛け合い漫才はこれです。 👇 https://www.youtube.com/watch?v=EZLhN6WaajY
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2022.01.24

認知症の教室(専門職用)
ケアマネジャーさんの癒し センター長の石川です オミクロンの影響で、誰もが緊張と不安の中にいますね。 ケアの現場にいるものも緊張が続く毎日ですが、 ワクチンすらいつになるのやらわからない 地域の高齢者や住民の方も不安が増す毎日かなと思います。 ますます引き籠り、外に出ず、心身ともに ダメージを受けていくことになりますね。 私も雨ということもあり、昨日はずっと引き籠り ネットフリックスの映画やYouTubeを見ていました。 私が好きな「Howdy Johnny」です   しかしこんな状況だからこそ、笑顔とユーモアを忘れてはいけません! 笑顔とユーモアは、最高の免疫機能を高めるものです。 第一、不安、困った、どうしよう、嫌だな ばかり思っていても なんの得にもなりません。 引きつった顔になっていませんか!? かつてアウシュビッツ強制収容所の過酷な状況の中で、 心身の破綻をきたさなかった人は、 最後までユーモアを忘れなかった人だそうです。 さて、今日は日頃から大変な中、一生懸命に頑張っている ケアマネジャーさんへの癒し具材です。 ではケアマネさん以外には効果がないのか? 「ケアマネ薬用入浴剤」と明記してあるので、 ケアマネジャーにしか効かない効能成分なのかもしれません(笑) もっとも、ケアマネジャーさんの最高の癒しは、利用者さんの笑顔かもですね。 入浴は心身のリラックスにも繋がります。 ヒートショックに気を付けながら、 皆さんもゆっくりと入浴してくださいね。
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2022.01.22

認知症の教室(専門職用)
記憶と感情(6)認知症の人に影響を与える最大要因とは 前回、「良い感情であれ、悪い感情であれ、感情のシステムが働いて、これは重要だぞ!という強い感情のシグナルが海馬に届くと、その出来事は、他の何でもない日の出来事よりも強く定着する」(恩蔵絢子氏「脳科学者の母が、認知症になる」P172)と書きました。 ケアの現場で言うと、アスタッフとの会話では、日常的な話はあまり記憶に残らないけど、 ケアスタッフに恐怖や不安を感じた出来事や、生活上安心できる関わりをされると記憶に刻まれやすいというようにも書きました。 これはどういうことかというと、 認知症の人の行動は、 「その方が認知症状を発し、理解力が落ちたために起きている」というより、 正確には「その認知症状に多分に影響を与える周辺環境が、認知症の人の行動に影響を与えてる」ということなのです。 動物園のライオンの生活の良し悪しも、関わる人次第です。   では周辺環境とは何か? 簡単に言えば、居心地よい環境を作っている全てです。 しかし何らかのケアを必要とする認知症の人にとって、 最大の環境要因は「人」つまり、ケアに関わる者なのです。 私たちこそが、認知症の人の感情を大きく左右する存在なのです。 (つづく) オミクロンがますます脅威になる中、どうしても笑顔を忘れがちになりますね。 でも「笑い」は、免疫機能を高めます。 何も考えずに、おもろいことに笑いましょう。 今回は、クマとウルフの掛け合い漫才はこれです。 👇 https://www.youtube.com/watch?v=MOsWH3PpUmo
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2022.01.21

認知症の教室(専門職用)
記憶と感情(5)感情のメカニズム 前回、記憶の殿堂である「海馬」とは別に、感情の殿堂である「扁桃体」が別に存在すること、 そしてその「扁桃体」つまり、感情の方が「海馬」より先に立つ存在なのだということを述べました。 今回も、恩蔵絢子氏の「脳科学者の母が、認知症になる」(河出書房)をベースに説明します。 元々は瞬時に伝達判断する脳の働きを、今回は超スローモーションでの解説になります。 人間は基本的に自己防衛反応というか、自らの生命を守るという本能があります。 何か嫌な出来事、怖い出来事が怒ったら、 そのことに対して注意を払わなければならないという警戒情報として捉えます。 反対に生命が安心できる事柄に対しても、重要情報として判断されます。 そしてその情報を海馬に送り、記憶して、次に対処できるようにするのです。 つまり、「良い感情であれ、悪い感情であれ、感情のシステムが働いて、これは重要だぞ!という強い感情のシグナルが海馬に届くと、その出来事は、他の何でもない日の出来事よりも強く定着する」(恩蔵絢子氏「脳科学者の母が、認知症になる」P172)のです。 つまり、「ある出来事が起こったら、感情のシステムがいち早く反応し、感情を手掛かりに私たちは物事を分析して理解しようとする。」(P173)ということなのです。  海馬で記憶する前に、扁桃体で感情を精査しているということなのですね。 へたくそな図ですが作ってみました。こんな流れになるでしょうか。   ですから、例えばケアスタッフとの会話では、日常的な話はあまり記憶に残らないけど、 ケアスタッフに恐怖や不安を感じた出来事や、 生活上安心できる関わりをされると記憶に刻まれやすいと言えます。 在宅の介護家族もついイライラして、本人に強く当たってしまうことがあります。 そしてそのことが印象付けられ、介護家族に対して倍返ししたりします。 その家族は一番頼りたい人だと感じているのですが、攻撃されたと思うと、反撃してしまうのです。 (つづく)  
ブログ投稿画像  今は「人類」の存在価値が試されているときかもしれません。  科学を発展させ、たぶん、地球上の支配者となっている人類ですが、     戦争という虐殺から、誹謗中傷と言う身近な攻撃まで、     人類は「そこまでの存在」でしかないのかもしれませんね。 そのような時代だから大切にして行きたい言葉 少し長くなりますが、以前に何かに書いたものをここに載せます。 [caption id="attachment_3493" align="alignnone" width="1024"] 万博公園の梅はほぼ満開です。[/caption]   ありがとうの言葉「父と子編」 ファミリーレストランで、店員さんが食事を持ってきたときのこと。 「どうもありがとう」とお父さんが言ったのを聞いた子供が、そのお父さんに聞きました。 「お父さんはお客さんなのに、どうしてありがとうって言ったの?」 お父さんはにこっと笑って答えました。 「それはね、料理を作ってくれたこと、その料理を運んでくれたことにありがとうって言ったんだよ。」 「ふ~ん・・・」子どもはいまいち理解できないような顔をして頷き、そして目の前のご馳走を食べ始めたのでした。 しかし、父親のこの行動はいつかきっと子供に反映されるでしょう。 今では珍しいような、親子の会話かもしれません。 だけど、とても大切なEI(感じる知性)を高める場面がそこにあると思いました。 確かにサービスを提供する側にお金を払っている私たちが、 お礼を言わなければならないのはおかしいことかもしれません。 お金を払っているのだから適切なサービスを受けるのは当たり前のことなのだと。 でもここはきっとそんなことを議論するところではないでしょう。 ある日のこと、 バスを降りる子どもが「運転手さんありがとう」と言って降りていくのを見たことがあります。 素直に、「運転手さんいつも安全に運んでくれてありがとう」という意味なのでしょう。 「はい、ありがとう」と微笑んで答える運転手。 そう、難しく考え議論するものでもないのです。 そして先日、知人のあるバス運転手がこう話してくれました。 「お客さんからありがとうって言われると、すごく気持ちがいいし、私も(安全運転への)達成感があります。この一言が、気持ちの豊かさに繋がるんだと思います。」 そう、たった一言だけのこと。 「おいしい料理を作ってくれてありがとう」「重たい料理を運んでくれてありがとう」 「いつも安全運転でありがとう」「寒い中の外でのお仕事ありがとう」「夜遅く、朝早くのお仕事にもありがとう」・・・ 別に緊張して肩肘張って大声で言わなくてもいい。軽く感謝の意を伝えればいいのだ。 気軽に爽やかに、「ありがとう」「おつかれさん」「どういたしまして」「ごめんね」「気にしないで」って言えれば。 でも、そのたった一言を惜しんだために崩れていく人間関係もあるだろう。 むしろ今は、平気で誹謗中傷する時代。 社会的EIが高まるか悪化するかは、その一言が言えるか言えないかにも関わっているかもしれません。 まずは、自戒を込めて。 では、ろくでもないサービスをする人には何と言う? 「とっても不快な思いにさせてくれてありがとう」かな? おそらくそんな人には皮肉も通じないのかな。 多分、人のことばかり言ったり責めたり、そして不快な思いに人を巻き込む人は 時間の大切さを知らないのだと思う。 それはともかく、一生懸命に昼夜を問わずお仕事されている皆さまへ、 いつもいつも、本当にありがとうございます。 縁の下の人の働きがあるからこそ、その上で働く人が動けます。 その上の人が働けるから、縁の下の人が報われます。 苦難多々の状況の中で働いている皆様に 「ありがとう」   ナオト・インティライミ「こころことば」を聴きながら
ブログ投稿画像 前回は、何らかのケアを必要とする認知症の人にとって、 最大の環境要因は「人」つまり、ケアに関わる者であり、 私たちこそが、認知症の人の感情を大きく左右する存在なのです と、書きました。 それだけ私たちの存在は、認知症の人にとって重要な存在と言えます。 ならば、私たちはもっと「気づかなければならないこと」が現実の仕事の中で一杯あると言うことです。 しかし実際のケアの現場は、 「できてない」「できない」「わかってない」「わからない」「考えない」「余裕がない」などが散在し、 時に「なんでこんなこともわからんの」或いは「現場のしんどさをわかってもらえない」など 意見の対立に繋がってしまうこともあります。 「もっと私たちの意見も聞いてほしい」という思いもあるかもしれません。 一方で、「やれている」ことも結構あるのです。 それに気づいていないから、「やれている」のに、そのための良い方法がすぐに忘れ去られてしまい、 「わからない」ことが多くなるのです。 「こことここと、こうしたからよくなったんだよ」ということを検証でき、 成功体験を積み上げていくこと。 そうすることで、それこそ今回のテーマである「記憶する」ことに繋がっていくのです。 記憶されれば、次から良い方向に考えていけるのです。 ではどうやって「検証と体験」を積み上げていくのか。 次回「記憶と感情」(8)を載せた後から始めてみたいと考えています。   今回の、クマとウルフの掛け合い漫才はこれです。 👇 https://www.youtube.com/watch?v=EZLhN6WaajY
ブログ投稿画像 センター長の石川です オミクロンの影響で、誰もが緊張と不安の中にいますね。 ケアの現場にいるものも緊張が続く毎日ですが、 ワクチンすらいつになるのやらわからない 地域の高齢者や住民の方も不安が増す毎日かなと思います。 ますます引き籠り、外に出ず、心身ともに ダメージを受けていくことになりますね。 私も雨ということもあり、昨日はずっと引き籠り ネットフリックスの映画やYouTubeを見ていました。 [caption id="attachment_3446" align="alignnone" width="1024"] 私が好きな「Howdy Johnny」です[/caption]   しかしこんな状況だからこそ、笑顔とユーモアを忘れてはいけません! 笑顔とユーモアは、最高の免疫機能を高めるものです。 第一、不安、困った、どうしよう、嫌だな ばかり思っていても なんの得にもなりません。 引きつった顔になっていませんか!? かつてアウシュビッツ強制収容所の過酷な状況の中で、 心身の破綻をきたさなかった人は、 最後までユーモアを忘れなかった人だそうです。 さて、今日は日頃から大変な中、一生懸命に頑張っている ケアマネジャーさんへの癒し具材です。 ではケアマネさん以外には効果がないのか? 「ケアマネ薬用入浴剤」と明記してあるので、 ケアマネジャーにしか効かない効能成分なのかもしれません(笑) もっとも、ケアマネジャーさんの最高の癒しは、利用者さんの笑顔かもですね。 入浴は心身のリラックスにも繋がります。 ヒートショックに気を付けながら、 皆さんもゆっくりと入浴してくださいね。
ブログ投稿画像 前回、「良い感情であれ、悪い感情であれ、感情のシステムが働いて、これは重要だぞ!という強い感情のシグナルが海馬に届くと、その出来事は、他の何でもない日の出来事よりも強く定着する」(恩蔵絢子氏「脳科学者の母が、認知症になる」P172)と書きました。 ケアの現場で言うと、アスタッフとの会話では、日常的な話はあまり記憶に残らないけど、 ケアスタッフに恐怖や不安を感じた出来事や、生活上安心できる関わりをされると記憶に刻まれやすいというようにも書きました。 これはどういうことかというと、 認知症の人の行動は、 「その方が認知症状を発し、理解力が落ちたために起きている」というより、 正確には「その認知症状に多分に影響を与える周辺環境が、認知症の人の行動に影響を与えてる」ということなのです。 [caption id="attachment_3369" align="alignnone" width="1024"] 動物園のライオンの生活の良し悪しも、関わる人次第です。[/caption]   では周辺環境とは何か? 簡単に言えば、居心地よい環境を作っている全てです。 しかし何らかのケアを必要とする認知症の人にとって、 最大の環境要因は「人」つまり、ケアに関わる者なのです。 私たちこそが、認知症の人の感情を大きく左右する存在なのです。 (つづく) オミクロンがますます脅威になる中、どうしても笑顔を忘れがちになりますね。 でも「笑い」は、免疫機能を高めます。 何も考えずに、おもろいことに笑いましょう。 今回は、クマとウルフの掛け合い漫才はこれです。 👇 https://www.youtube.com/watch?v=MOsWH3PpUmo
ブログ投稿画像 前回、記憶の殿堂である「海馬」とは別に、感情の殿堂である「扁桃体」が別に存在すること、 そしてその「扁桃体」つまり、感情の方が「海馬」より先に立つ存在なのだということを述べました。 今回も、恩蔵絢子氏の「脳科学者の母が、認知症になる」(河出書房)をベースに説明します。 元々は瞬時に伝達判断する脳の働きを、今回は超スローモーションでの解説になります。 人間は基本的に自己防衛反応というか、自らの生命を守るという本能があります。 何か嫌な出来事、怖い出来事が怒ったら、 そのことに対して注意を払わなければならないという警戒情報として捉えます。 反対に生命が安心できる事柄に対しても、重要情報として判断されます。 そしてその情報を海馬に送り、記憶して、次に対処できるようにするのです。 つまり、「良い感情であれ、悪い感情であれ、感情のシステムが働いて、これは重要だぞ!という強い感情のシグナルが海馬に届くと、その出来事は、他の何でもない日の出来事よりも強く定着する」(恩蔵絢子氏「脳科学者の母が、認知症になる」P172)のです。 つまり、「ある出来事が起こったら、感情のシステムがいち早く反応し、感情を手掛かりに私たちは物事を分析して理解しようとする。」(P173)ということなのです。  海馬で記憶する前に、扁桃体で感情を精査しているということなのですね。 [caption id="attachment_3439" align="alignnone" width="899"] へたくそな図ですが作ってみました。こんな流れになるでしょうか。[/caption]   ですから、例えばケアスタッフとの会話では、日常的な話はあまり記憶に残らないけど、 ケアスタッフに恐怖や不安を感じた出来事や、 生活上安心できる関わりをされると記憶に刻まれやすいと言えます。 在宅の介護家族もついイライラして、本人に強く当たってしまうことがあります。 そしてそのことが印象付けられ、介護家族に対して倍返ししたりします。 その家族は一番頼りたい人だと感じているのですが、攻撃されたと思うと、反撃してしまうのです。 (つづく)