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「認知症の教室(専門職用)」で記事を検索しました。

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2019.04.22

認知症の教室(専門職用)
「ひとりの人としてリスペクトすること」 Aさんは現在、デイサービスとショートステイを利用されています。 1年前までは、まだカラオケも唄えていたのですが、今は逆にその音が本人の混乱へと繋がるなど、生活全般において不安定な状態になられています。 詳細は個人情報なので割愛しますが、ここで私自身、改めて勉強させてもらったことがあります。 ある方のサービス担当者会議における、Aさんの妻、Bさんの、しっかりとした考え方でした。 最近は特に体調がすぐれず、ショートステイをお願いすることが多くなったBさんですが、Aさんのことを「認知症状が大変で困った人」という捉え方ではなく、「ひとりの価値ある人」として常に接することに心掛けているとのことでした。 もちろん腹が立つことも、泣きたいくらい辛いこともあったでしょう。 しかし出来ないことに目を奪われず、Aさんの好きなことや、これまでの人生の中で頑張ってこられたことなどに敬意を表すこと。(一人の人としてリスペクトすること) つまり「Aさんは認知症だけど、人としてのプライドと尊厳を守っていく接し方をすること」という事を、しっかりと意識して接しておられるということが伝わってきたのです。 私たちケア実践者がベースに置かなければならない考え方を、Bさんは確実に実践されていたのでした。 私たちも謙虚に介護家族から学ぶことは必要ですし、ケア専門職として、その専門性を活かして介護者を支えることも必要でしょう。
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2019.01.10

認知症の教室(専門職用)
認知症の教室・専門職向け3「私たち以上に困っているのは…」 認知症の教室⑨ 前回は認知症が、認知機能が低下している状況であるとわかっていても、目の前で起こっている私たちが困ってしまう認知症の人の行動に、私たちが翻弄されていると書きました。 日々ケアの現場は認知症の人への関りでは、あたふたして「大変!」という状況と言えます。それは在宅においても入所においても同じでしょう。 また、一言に認知症と言っても、一人ひとりみな違う状況の中でケアを実践していかなければなりません。認知症の人の行動はケア実践者にとって頭の痛い行動なのです。 みんなの介護より しかしここで忘れてはならないのは、私たちも困っているかもしれないけれど、認知症の人は私たち以上に困っている状況におられるということなのです。 様々なことが不確かになっていく中で、私たちのように動けず判断できず戸惑いと不安の中にいる認知症の人は、私たち以上に大変な状況で生活しているということを理解してください。   順次、認知症ケアにおける基本となる「パーソン・センタード・ケア」について説明しますが、その前に医学面からの視点を今一度押さえながら、現場の状況と併せ持ってお話ししていきたいと考えています。 (つづく)
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2018.12.28

認知症の教室(専門職用)
専門職向け講座2「話が伝わらない」 認知症の教室⑦ センター長の石川です。 専門職向け認知症の教室、第2回目です。 認知症の人と関わる中で、ケア実践者が大変だと思うことに、「話が伝わらない」或いは「何を言ってるのかわからない」ということがあると思います。 つまり、コミュニケーションが成立しないということなのです。 それでなくても多くの仕事をこなしていかなければならない現場の人間にとって、例えばトイレに誘導するにも、お風呂に行くにも、食事に行くにも、コミュニケーションができる人の何倍もの時間を認知症の人には使わなければならないのです。 ケア側の意思が伝わらず、また認知症の人も自分の状況がわからず、危険な行動(歩行不安定なのに立ってしまうなど)を取られ、ケア側が冷や汗をかくということも多々あるでしょう。 では、なぜコミュニケーションができないのか、それは「相手が認知症だから」、イコール「理解できない人だから」ということになるでしょう。 ケア実践者の誰もが知ってることです。「認知症で理解できない人だから」と。 それでは理解できないとはどういうことなのでしょうか? 当たり前の話ですが、理解する機能がダメージを受けてしまっている状態と言えます。 理解する機能というのは「認知機能」のことになります。 つまり、本人の意思とは関係なく、様々なことを認知する機能が正常に働かなくなるということです。 この認知機能へのダメージが、ケア実践者も、認知症の人本人も、混乱の渦の中に巻き込んでしまう要因となるのです。 この当たり前の事実を、意外と私たちは忘れがちになってしまうのです。 それにはそれなりの理由があります。 何故ならば、目の前で起こっている様々な私たちが困ってしまう認知症の人の行動に、その見えている事実に、私たちが翻弄されてしまうからなのです。 (つづく)  
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2018.12.22

認知症の教室(専門職用)
認知症の教室⑥ 専門職向け講座(1)「認知症の人はケア実践者にとって…」 センター長の石川です。 ケア実践者にとって、今や認知症の人とのかかわりは必要不可欠なものになっています。 さらにケア実践者にとって難易度が高いケアが認知症の人との関りということになります。 認知症の人の行動、特にBPSDに振り回されたり、コミュニケーションが取れなくて、認知症の人の思いがわからないし、ケア側が伝えたいことが理解してもらえないもどかしさを持っている人も多いでしょう。 つまりケア実践者(ケアマネジャー、ヘルパー、介護職等々)にとって、自らの表情に表すあらわさないは別として、「認知症の人はイライラする存在(ストレスのたまる存在)」として認識されているのでしょう。 もちろんその感覚はケア実践者によって大小はあるでしょうが、多かれ少なかれ認知症の人はケア実践者にとって「困った存在」と言えるかもしれません。 その「困った」も認知症の人その人を示すのか、認知症の人の行動のひとつを示すのか差異はあるでしょう。 この専門職向けブログでは、ケア実践者の混乱やしんどさを、当然生じる気持ちとして受け止めつつ、 同時に認知症の人を理解し、どのようなケア実践が適切なのかを、 時間をかけて解説していきたいと考えています。   (つづく)
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2018.12.13

認知症の教室(専門職用)
認知症の教室4「専門職向け講座スタートします」(予告) センター長の石川です。 いよいよ、専門職向け認知症講座もこのブログでスタートします。 長い期間になると思いますが、まずは基本を徹底的に身につけることを主体として進め、徐々に具体的事例、ケアの方法などに入っていきたいと考えています。 実際現場で働く者にとって、認知症の人は正直「困った存在」と思う人がいるかもしれません。 一生懸命取り組んでいる人も、どうしたらよいかわからない、どの道を進めば正しいのかがわからないという人も多いと思います。 このブログでは正しい道がどの道なのかを示すことが一つの役割になります。 皆さんが間違った道に行かないように、皆さん自身の人生を大切にすることが、利用者や認知症の人を大切にすることにつながるからです。 しかし専門職向けと言っても、入居分野の職員と、在宅分野の職員とでは実際に認知症の方に関わる状況は大きく変わってきます。そのため入居分野の職員向けと、在宅分野の職員向けとに分けて解説する必要があります。 講座を進めていくうちにそれは行っていこうと思いますが、認知症の理解という基本部分については同じですので、当面は入居系、在宅系共々の職員向けで進めていきます。 その間、質問などがあれば、遠慮なくコメントを頂ければと思います。   では、次週からスタートです。
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2018.12.06

認知症の教室(専門職用)
「もの忘れについて」その② 認知症の教室 センター長の石川です。 「もの忘れについて」の2回目です。 もの忘れと言っても、認知症の進行具合で変わってきます。 今回は認知症初期のもの忘れのお話しです。 特に初期の場合は、年相応のもの忘れ(病気でないもの忘れ)との区別がつきにくく 認知症が見逃されてしまうことがあります。 また認知症ではないけれど、軽度認知障がい(MCI)の方にも、もの忘れはあります。 そのため、一般の人から見ると、 もの忘れがあると、年相応のもの忘れなのに、すぐに認知症と思ってしまう人と、 逆に年相応のもの忘れと思って、認知症に気付かない人がいます。 なかなか難しいですね。 しかし、定期的に身体的な健康診断を行い、早期発見早期治療が大切なように 認知機能の健康診断も必要なのです。 身体の病気だけでなく、認知機能の低下(認知症)に対しても、早期発見早期の対応が必要なのです。 少しでも「最近ちょっともの忘れが多いのでは?」と思ったら、健康診断の一環として本人に説明し、認知機能についても診察してもらいましょう。 なお軽度認知障がい(MCI)と判断された人のもの忘れは、現状では病気ではなくても、放置すれば認知症によるもの忘れへと進行してしまいます。 MCIについては後日書くこととして、次回は認知症の人本人から見たもの忘れについて書いてみたいと思います。
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2018.12.04

認知症の教室(専門職用)
「もの忘れについて」① 一般の方並びに介護従事初心者の方向け認知症教室2 センター長の石川です。 今回は認知症の教室第2回目です。 一般の方だけでなく、新人介護従事者向けにもなっています。 今回は「もの忘れ」について、その①です。 前回同様、長谷川洋先生の文章をベースにしてお伝えします。 認知症というと一番思い浮かべるのは「もの忘れ」ですね。 しかし、もの忘れは私たちにも普段からあります。 隣の部屋に何かを取りに行こうと思って、隣の部屋に来たら、何を取りに来たのか忘れてしまって、「えっと、何を取りに来たんだろう?」などと思ってしまうことはあるかもしれませんね。 でもそのことがすぐに「認知症」と結びつくわけではありません。 認知症とは、もの忘れに伴い「生活に支障を生じている状態」であり、自分が体験した「出来事全体」を忘れてしまうという特徴があるのです。そしてそれは、まさしく「認知症」の「症」という言葉が付くように、 症状、つまり病気としてとらえることになるのです。 記憶を帯で例えれば、通常の物忘れは体験の一部を忘れるだけなので、その忘れた部分は思い出すことが出来ます。 しかし、認知症の物忘れは、体験全体を忘れてしまうので、さっきあったことも思い出せず、生活の支障へと進んでいくのです。 (中央法規出版「認知症のケアマネジメント」長谷川洋・石川進著 P5図表1-2参照) 体験そのものを忘れてしまうので、そのことを問うたり責めたりすることは、本人にはわけのわからない、つらいことだということを認識してください。   (つづく)
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2018.11.13

認知症の教室(専門職用)
一般の方への講座シリーズ 1.「認知機能」について センター長の石川です。 週1回程度の割合で、認知症について載せていきたいと思っています。 今回は一般の方への内容になりますが、専門職の方でも初心者の方には読んでいただきたいと思います。中央法規出版「認知症のケアマネジメント」で、長谷川洋先生が書かれた部分を引用しながら説明します。   「認知機能」について 認知機能っていったい何でしょうか? あまり聞きなれない言葉ですが、実は私たちが日常生活を送るにおいて、とても大切な機能なのです。 例えば、AさんがBさんの話を聞いているとします。 AさんはそのBさんの話を瞬間的に解釈します。同時に部屋の温度を感じたり、明るさ暗さを感じたり、おなかが減ったななどという自分の身体的なことも瞬間に判断します。様々な生活上の動きの全てに認知機能が働いているのです。 つまり認知機能とは物事を判断する力なのです。日々の活動は、認知機能が保たれていることで成り立っているといえます。 ところがこの大切な認知機能の低下をもたらすのが認知症なのです。 (つづく)   *中央法規出版「認知症のケアマネジメント」長谷川洋・石川進 P2より
ブログ投稿画像 Aさんは現在、デイサービスとショートステイを利用されています。 1年前までは、まだカラオケも唄えていたのですが、今は逆にその音が本人の混乱へと繋がるなど、生活全般において不安定な状態になられています。 詳細は個人情報なので割愛しますが、ここで私自身、改めて勉強させてもらったことがあります。 ある方のサービス担当者会議における、Aさんの妻、Bさんの、しっかりとした考え方でした。 最近は特に体調がすぐれず、ショートステイをお願いすることが多くなったBさんですが、Aさんのことを「認知症状が大変で困った人」という捉え方ではなく、「ひとりの価値ある人」として常に接することに心掛けているとのことでした。 もちろん腹が立つことも、泣きたいくらい辛いこともあったでしょう。 しかし出来ないことに目を奪われず、Aさんの好きなことや、これまでの人生の中で頑張ってこられたことなどに敬意を表すこと。(一人の人としてリスペクトすること) つまり「Aさんは認知症だけど、人としてのプライドと尊厳を守っていく接し方をすること」という事を、しっかりと意識して接しておられるということが伝わってきたのです。 私たちケア実践者がベースに置かなければならない考え方を、Bさんは確実に実践されていたのでした。 私たちも謙虚に介護家族から学ぶことは必要ですし、ケア専門職として、その専門性を活かして介護者を支えることも必要でしょう。
ブログ投稿画像 認知症の教室⑨ 前回は認知症が、認知機能が低下している状況であるとわかっていても、目の前で起こっている私たちが困ってしまう認知症の人の行動に、私たちが翻弄されていると書きました。 日々ケアの現場は認知症の人への関りでは、あたふたして「大変!」という状況と言えます。それは在宅においても入所においても同じでしょう。 また、一言に認知症と言っても、一人ひとりみな違う状況の中でケアを実践していかなければなりません。認知症の人の行動はケア実践者にとって頭の痛い行動なのです。 [caption id="attachment_305" align="aligncenter" width="600"] みんなの介護より[/caption] しかしここで忘れてはならないのは、私たちも困っているかもしれないけれど、認知症の人は私たち以上に困っている状況におられるということなのです。 様々なことが不確かになっていく中で、私たちのように動けず判断できず戸惑いと不安の中にいる認知症の人は、私たち以上に大変な状況で生活しているということを理解してください。   順次、認知症ケアにおける基本となる「パーソン・センタード・ケア」について説明しますが、その前に医学面からの視点を今一度押さえながら、現場の状況と併せ持ってお話ししていきたいと考えています。 (つづく)
ブログ投稿画像 認知症の教室⑦ センター長の石川です。 専門職向け認知症の教室、第2回目です。 認知症の人と関わる中で、ケア実践者が大変だと思うことに、「話が伝わらない」或いは「何を言ってるのかわからない」ということがあると思います。 つまり、コミュニケーションが成立しないということなのです。 それでなくても多くの仕事をこなしていかなければならない現場の人間にとって、例えばトイレに誘導するにも、お風呂に行くにも、食事に行くにも、コミュニケーションができる人の何倍もの時間を認知症の人には使わなければならないのです。 ケア側の意思が伝わらず、また認知症の人も自分の状況がわからず、危険な行動(歩行不安定なのに立ってしまうなど)を取られ、ケア側が冷や汗をかくということも多々あるでしょう。 では、なぜコミュニケーションができないのか、それは「相手が認知症だから」、イコール「理解できない人だから」ということになるでしょう。 ケア実践者の誰もが知ってることです。「認知症で理解できない人だから」と。 それでは理解できないとはどういうことなのでしょうか? 当たり前の話ですが、理解する機能がダメージを受けてしまっている状態と言えます。 理解する機能というのは「認知機能」のことになります。 つまり、本人の意思とは関係なく、様々なことを認知する機能が正常に働かなくなるということです。 この認知機能へのダメージが、ケア実践者も、認知症の人本人も、混乱の渦の中に巻き込んでしまう要因となるのです。 この当たり前の事実を、意外と私たちは忘れがちになってしまうのです。 それにはそれなりの理由があります。 何故ならば、目の前で起こっている様々な私たちが困ってしまう認知症の人の行動に、その見えている事実に、私たちが翻弄されてしまうからなのです。 (つづく)  
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 ケア実践者にとって、今や認知症の人とのかかわりは必要不可欠なものになっています。 さらにケア実践者にとって難易度が高いケアが認知症の人との関りということになります。 認知症の人の行動、特にBPSDに振り回されたり、コミュニケーションが取れなくて、認知症の人の思いがわからないし、ケア側が伝えたいことが理解してもらえないもどかしさを持っている人も多いでしょう。 つまりケア実践者(ケアマネジャー、ヘルパー、介護職等々)にとって、自らの表情に表すあらわさないは別として、「認知症の人はイライラする存在(ストレスのたまる存在)」として認識されているのでしょう。 もちろんその感覚はケア実践者によって大小はあるでしょうが、多かれ少なかれ認知症の人はケア実践者にとって「困った存在」と言えるかもしれません。 その「困った」も認知症の人その人を示すのか、認知症の人の行動のひとつを示すのか差異はあるでしょう。 この専門職向けブログでは、ケア実践者の混乱やしんどさを、当然生じる気持ちとして受け止めつつ、 同時に認知症の人を理解し、どのようなケア実践が適切なのかを、 時間をかけて解説していきたいと考えています。   (つづく)
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 いよいよ、専門職向け認知症講座もこのブログでスタートします。 長い期間になると思いますが、まずは基本を徹底的に身につけることを主体として進め、徐々に具体的事例、ケアの方法などに入っていきたいと考えています。 実際現場で働く者にとって、認知症の人は正直「困った存在」と思う人がいるかもしれません。 一生懸命取り組んでいる人も、どうしたらよいかわからない、どの道を進めば正しいのかがわからないという人も多いと思います。 このブログでは正しい道がどの道なのかを示すことが一つの役割になります。 皆さんが間違った道に行かないように、皆さん自身の人生を大切にすることが、利用者や認知症の人を大切にすることにつながるからです。 しかし専門職向けと言っても、入居分野の職員と、在宅分野の職員とでは実際に認知症の方に関わる状況は大きく変わってきます。そのため入居分野の職員向けと、在宅分野の職員向けとに分けて解説する必要があります。 講座を進めていくうちにそれは行っていこうと思いますが、認知症の理解という基本部分については同じですので、当面は入居系、在宅系共々の職員向けで進めていきます。 その間、質問などがあれば、遠慮なくコメントを頂ければと思います。   では、次週からスタートです。
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 「もの忘れについて」の2回目です。 もの忘れと言っても、認知症の進行具合で変わってきます。 今回は認知症初期のもの忘れのお話しです。 特に初期の場合は、年相応のもの忘れ(病気でないもの忘れ)との区別がつきにくく 認知症が見逃されてしまうことがあります。 また認知症ではないけれど、軽度認知障がい(MCI)の方にも、もの忘れはあります。 そのため、一般の人から見ると、 もの忘れがあると、年相応のもの忘れなのに、すぐに認知症と思ってしまう人と、 逆に年相応のもの忘れと思って、認知症に気付かない人がいます。 なかなか難しいですね。 しかし、定期的に身体的な健康診断を行い、早期発見早期治療が大切なように 認知機能の健康診断も必要なのです。 身体の病気だけでなく、認知機能の低下(認知症)に対しても、早期発見早期の対応が必要なのです。 少しでも「最近ちょっともの忘れが多いのでは?」と思ったら、健康診断の一環として本人に説明し、認知機能についても診察してもらいましょう。 なお軽度認知障がい(MCI)と判断された人のもの忘れは、現状では病気ではなくても、放置すれば認知症によるもの忘れへと進行してしまいます。 MCIについては後日書くこととして、次回は認知症の人本人から見たもの忘れについて書いてみたいと思います。
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 今回は認知症の教室第2回目です。 一般の方だけでなく、新人介護従事者向けにもなっています。 今回は「もの忘れ」について、その①です。 前回同様、長谷川洋先生の文章をベースにしてお伝えします。 認知症というと一番思い浮かべるのは「もの忘れ」ですね。 しかし、もの忘れは私たちにも普段からあります。 隣の部屋に何かを取りに行こうと思って、隣の部屋に来たら、何を取りに来たのか忘れてしまって、「えっと、何を取りに来たんだろう?」などと思ってしまうことはあるかもしれませんね。 でもそのことがすぐに「認知症」と結びつくわけではありません。 認知症とは、もの忘れに伴い「生活に支障を生じている状態」であり、自分が体験した「出来事全体」を忘れてしまうという特徴があるのです。そしてそれは、まさしく「認知症」の「症」という言葉が付くように、 症状、つまり病気としてとらえることになるのです。 記憶を帯で例えれば、通常の物忘れは体験の一部を忘れるだけなので、その忘れた部分は思い出すことが出来ます。 しかし、認知症の物忘れは、体験全体を忘れてしまうので、さっきあったことも思い出せず、生活の支障へと進んでいくのです。 (中央法規出版「認知症のケアマネジメント」長谷川洋・石川進著 P5図表1-2参照) 体験そのものを忘れてしまうので、そのことを問うたり責めたりすることは、本人にはわけのわからない、つらいことだということを認識してください。   (つづく)
ブログ投稿画像 センター長の石川です。 週1回程度の割合で、認知症について載せていきたいと思っています。 今回は一般の方への内容になりますが、専門職の方でも初心者の方には読んでいただきたいと思います。中央法規出版「認知症のケアマネジメント」で、長谷川洋先生が書かれた部分を引用しながら説明します。   「認知機能」について 認知機能っていったい何でしょうか? あまり聞きなれない言葉ですが、実は私たちが日常生活を送るにおいて、とても大切な機能なのです。 例えば、AさんがBさんの話を聞いているとします。 AさんはそのBさんの話を瞬間的に解釈します。同時に部屋の温度を感じたり、明るさ暗さを感じたり、おなかが減ったななどという自分の身体的なことも瞬間に判断します。様々な生活上の動きの全てに認知機能が働いているのです。 つまり認知機能とは物事を判断する力なのです。日々の活動は、認知機能が保たれていることで成り立っているといえます。 ところがこの大切な認知機能の低下をもたらすのが認知症なのです。 (つづく)   *中央法規出版「認知症のケアマネジメント」長谷川洋・石川進 P2より