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今年の夏は異常に暑い! と、毎年言ってるような気がします。
その中でも今年は連日厳しい暑さが続きます。
しかし、認知症の人の場合、脳の認知機能の低下は、「暑い、寒い」という感覚さえも奪ってしまいます。
ですので、夏でも厚着しているということはよくあります。
認知症は季節の感覚までも奪ってしまうので、周囲の人たちによる注意と環境整備が必要になります。
家から出て行ってしまって、道に迷ってしまう人にとっては過酷な状況です。
暑いから外には出ないという判断はできないので、
暑かろうが寒かろうが、外出しなければならないという思いの方が強いので、
結局過酷な暑さ寒さにさらされてしまいます。
なんでこんな暑い時に!と、私たちの視点から見ると、
とんでもないことと、理解できない行動なのですが、
本人には本人なりに理由があっての行動なのです。
[caption id="attachment_4556" align="alignnone" width="1600"] パンダも暑さでへたばっています。[/caption]
しかし暑さは容赦なく認知症の人に襲い掛かります。
一刻も早い発見が必要になります。暑いと出歩く地域住民も少なく、
路地裏に座り込んでいて発見が遅れるということも十分にありうるのです。
出来れば何らかの形でGPS発信機を持ってもらえれば最良なのですが、
うまく所持してもらえないという課題もあります。
さて、探すというと、2万1千人の中から一人を探すというのは至難の業ですね。
先週の土曜日、ラグビーワールドカップに向けた強化試合ともいえる、
日本代表対トンガの試合が花園ラグビー場でありました。
本来こんな猛烈な暑さの中でラグビーはやるようなものではないのですが、
久しぶりの関西での国際試合、2万1千人の人が来訪、花園ラグビー場はほぼほぼ満員になりました。
ある認知症の男性は、妻とともに熱烈なラグビーファンです。
今回の試合も早々にチケットを申し込まれたそうです。
当の本人の認知症状は、常にケアが必要な状況ですが、妻と子どもさんとともに観戦するとか。
私もこの試合を観戦するために、ラグビー場に行ったのですが、
さすが2万人もの人がいると、その姿を見つけられませんでした。
果たして無事に観戦できたのか? それはまた後日、介護者の方に聞いてみたいと思いますが、
認知症だからということで、様々な行動や活動に制限を掛けるのではなく、
むしろ感情は豊かに残っておられるので、
その感情に響く刺激はとても必要なことだと思います。
野球でもそうですが、スタジアムに入った時の独特の雰囲気、あれはテレビでは味わえません。
生で味わう雰囲気。認知症だからダメなのではなく、
認知症だからなお一層大切な体験と言えるかもしれません。
環境は認知症の人にとって、生活を左右する重要なアイテムなのです。
いぶし銀
「見た目の華やかさはないが実力や魅力があるもの」
私は彼のことを「いぶし銀のケアマネジャー」と呼び、尊敬していました。
彼とはわずか3年間しか仕事を共にしませんでしたが、
その謙虚で真摯な姿勢を見るたびに、
いつも自分は何をやってんだかと思ったものです。
決して目立つことはなく、地味だけど黙々と利用者に関わる姿は
とかく自分は評価されたいと動く人たちが多い中で
ある意味、異彩を放つ存在だったと言えます。
彼が突然亡くなってから1年
将来を託せる人の早逝は、痛手です。
彼の名前から、浮かんだ言葉が「月に咲く花」でした。
決して華やかではないけれど、しっかりと咲いている路傍の花
自分は評価されたいと動き回るネオンのような光よりもはるかに美しいのです。
いつどこでどうなるかわからない人生。
一日一日を無駄に過ごすことがないようにしたいものですね。
どんなに暑くてもどんなに寒くても
宮沢賢治の詩のように、自転車で走り回っていた彼の姿が
今でも目に浮かびます。
「雨ニモマケズ」(石川改編)
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けず
新型コロナウイルスの脅威と恐怖の中でも
丈夫なからだと心をもち
決して怒らず
いつも冷静に対処し、利用者には笑っている
一日に、相談・訪問・デイ・ショート
守るべき人たちのことを
よく見聞きし分かり
そして忘れず
地域の住民や高齢者にとって
灯台のような建物から
東に病気の高齢者あれば
行って適切なマネジメントをし
西に疲れた介護者あれば
行ってそのつらさを受け止め
南に死にそうな人があれば
行って看取りを支え
北に認知症の人が不安の中にいれば
あたたかなまなざしと言葉をかけ
日照りの時は汗を流して自転車をこぎ
寒い冬も北風に負けずに歩き
マスコミにはその地味な努力を
褒められもせず
苦にもされず
それでもひたすら頑張っている
そういういぶし銀のようなあなたを
私は
誇りに思いたい。
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