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2023.08.12

認知症の人の「感情伝染」とは(2)

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認知症の教室(一般市民用)

認知症の教室(専門職用)

前回、「私たちは、認知症の人に対して、大きな勘違いをしています。」と書きました。
認知症の人は、何を言っても理解できない。
そんな大きな誤解が、認知症の人の前で平気でその人に対する悪態を吐いたりします。
しかし、悪態を吐かれたことを、
認知症の人はしっかりと感じ取っていることを、私たちはわかっていないのです。

脳科学者の恩蔵絢子氏は、以下のように書いています。

「アルツハイマー型認知症の人は、周囲の人が高速で(私たちの普通の会話)やりとりする会話についていくことは、海馬の萎縮のせいで難しいところがあります。
数秒前まで語られていた膨大な言葉(私たちからすれば普通の会話)を覚えておかなければ、
会話についていくことができないからです。
しかし、アルツハイマー型認知症の人は、相手の感情を読むことはとても得意です。
完全には会話の内容を理解できなくても、言葉のトーン、相手の顔つきなどにはとても敏感で、
何か自分についてネガティブな情報を言われていることは、理解できるのです。」
(中央法規出版社 恩蔵絢子、永島徹著「なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか」P141より抜粋。( )内は石川が注釈)

このように、しっかりと私たちの言葉や態度を感じ取っておられるのです。
ですから、決して認知症の人は何もわからない人ではないということ。
そこを私たちは誤解してはならないのです。

では、なぜ認知機能が低下しているのに、感情は読み取っていくことができるのか。
つまり感情が伝染していくのか? 
次回に書き込みます。(つづく)

8月11日、山の日ですが、私は山には登らず、クラシックコンサートに行ってました。
85歳のマエストロのラストコンサート(大阪での定期演奏会ということです)でした。
渾身の指揮の後、腰の痛みと疲労を隠しながら、
何度も何度も頭を下げて、舞台を後にされました。

日本の一時代を担った名指揮者でした。
ひとつの時代が終わる… 
そんな切なさと感動を覚えたコンサートでした。