2020.12.12 | トピックス, 心の荷物預かり所, 認知症の教室(一般市民用), 認知症の教室(専門職用)
コロナ禍でのナッジ理論の活用法
2020.12.15
若年性認知症の方との関り(6)【施設入所が収容と言われていた時代】
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【施設入所が収容と言われていた時代】
Aさんの妻にとって頼れるところは行政でした。
市役所へ赴きますが、障がい課なのか、高齢福祉課なのかわかりません。
当然地域包括支援センターも介護保険もない時代です。
50歳代の相談が果たして高齢福祉課でよいのかわからないまま、
認知症という診断を頼りに高齢福祉課へ相談に行きます。
相談を受けた高齢福祉課は、65歳以上が担当です。
そのため果たして自分たちの管轄であるのかどうか迷った末、
認知症(当時は痴呆症)という診断があるため、相談を受理しました。
そして担当のワーカーが自宅を訪れ、その悲壮な状況に愕然としたのでした。
当時高齢福祉課は、特別養護老人ホームへの入所手続きを担っていました。
いわゆる「措置」の時代で、「このような入所希望者(必要者)がいるので、入所をよろしく」という通知を各施設に送る役割を担っていたのでした。
当時はそれを「収容依頼書」と呼んでいました。
「収容」という、まるで刑務所に送るような文言ですね。
また収容(入所)依頼先は、全国どこの施設でもよかったのです。
S市の高齢福祉課にとっても若年性認知症の方への入所判断に苦慮したようです。
なにせ法律上は65歳以上の人が対象で、50代の高齢者ではない人の入所依頼を出すのはどうなのかと課内でももめたそうです。
今なら若年性認知症の人のことがよくわかっていても、当時はどう対処していいかわからないという状況でした。
考察でも書きますが、今は地域包括やデイサービスやショートステイ、そしてケアマネジャーやホームヘルパーがいる時代です。当時はそれら全てのものがなかったのです。
何を言いたいのかと言うと、これだけサービスや専門スタッフが充実している今でも、
(若年性)認知症の人への関わりはどれだけ進歩しているのだろうか?? と言うことなのです。
さて、今の家族丸抱えの状況の中、特例の措置としてAさんの入所依頼を掛けることになったS市。
その依頼先として選んだのが、当時私が勤めていたM市の老人ホームでした。
(つづく)
センター長の石川でした。