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「2024年06月」で記事を検索しました。

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2024.06.28

トピックス
他人事ではなく自分事。今が心配なのです。 地域住民向け認知症サポーター講座に行ってきました。 最近は地域からの要望が多いですね。 16年後には、認知症予備軍の人も含めて3人に1人が認知症になると言っても、 やはり参加される方は、今が心配なのです。 高齢の方の参加が多い場合、 通常のサポーター講座の内容では心にヒットしないかもしれません。 高齢でない方が受講者の場合、 認知症の人への理解を、ある意味「他人事」だからこそ学びになるところがあります。 ところが、高齢者が受講者の場合、認知症は決して「他人事」ではなく、 「自分事」として捉えるでしょう。 自分は他人事でありたいと思っていても、自分事としてまじかにあるものなのです。 その不安は、若い人以上に感じるところがあるでしょう。 この後さらに参加者が増え、満席になりました。   サポーター講座はどこか「他人事」から入るところがあるとも言えます。 そう、認知症は他人事だからこそ、認知症の人への理解の学びを実践するのです。 しかし、高齢者が対象の場合、すぐ隣りにいる「自分事」への不安に対する 受容が必要になるでしょう。 さらに、何とか他人事でありたいという思いが、認知症にならないための 予防法を知りたいと思うのは、当然のことだと言えます。 型通りのサポーター講座ではなく、 受講者の状況も見ながら、受講者の不安も受け止めた サポーター講座にしなければならないと、 日々思うのです。  
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2024.06.25

トピックス
安心声掛けつながり訓練開催しました! 道に迷っている認知症の人にあたたかい声掛けをする訓練 「第8回英田南校区安心声掛けつながり訓練」が6月22日に開催されました。 「認知症でも大丈夫!自分力とお助け力でつながるまちづくり」をスローガンに、 この訓練を始めて9年になります。 80名以上の地域住民の方が参加してくれました   コロナの時は中止もありましたが、小規模実施で続けてきました。 英田南校区では、第8回目になる訓練は、 地域住民の方が90名近く(認知症役を演じてくれた5名の方を含む)参加してくれました。 オレンジチームの紹介もしてもらいました   会場はアーバンチャイルドこども園の大ホールをお借りして実施しました。 社協さんや市の地域包括ケア課、河内警察署などのネットワーク委員をはじめ、 各町会の町会長や民生委員さんの協力もいただき、 安心して暮らせる、顔が見える関係づくりの場になればとも思います。 道迷いの人だけでなく、いつもと違う元気のない人への声掛け法も見てもらいました。   また今回は、道迷いの人だけでなく、これまで元気だった人が いつもと違うな? ちょっとおかしいかな?と、 「ちょっとしたおせっかい」も認知症の早期発見につながると、 声掛けの練習をしてもらいました。 河内警察署にもおはなししてもらいました   それにしても、認知症役を演じてくれた地域住民の方、 皆さん、迫真の演技でした。 認知症の人の思いに最も近づき、 かつ、どのような声掛けをされたら安心するのか、 それを肌で感じられた、今回一番得した人たちだったのではないかと思います。 ありがとうございました。 捜索開始です   子どもさんたちも参加され、元気よく声を掛けてくれてましたね。 そして訓練終了後は、みんなで食するカレーライスタイムの復活です。 子どもさんも元気に参加してくれました   なお、今回の訓練の様子は、7月3日のJコム「虹色ネットワーク」の中で 放送されます。 以下、訓練の様子の写真です。 声掛け訓練中。本当は取り囲むのは✕ですが、今回は訓練なので。 子どもたちも一生懸命声を掛けてくれました 認知症役を演じてくれているのは、地域住民の方です ゆっくりとあたたかく、声を掛けていきます。認知症役は地域住民の方です。 認知症役の地域住民の方、迫真の演技でなかなか見つけることができませんでした。その間、実際の方と遭遇。 一生懸命声を掛けてくれる参加者です。 場所を提供していただいたこども園の園長先生にもコメントいただきました。 連合会長の寺尾会長からもあたたかいコメントをいただきました。    
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2024.06.12

トピックス
認知症ケア学会が開催されます 今年も認知症ケア学会開催ですね。 場所は東京 テーマが「AIと認知症」 ついに認知症の世界にも、AIが来たかという感じですね。 でもね、なんか違和感があるのですね。 もちろんAIを否定しているわけではないのですが、 また、このご時世ですから、活用できるところはドンドン使っちゃおうでいいと思います。 例えば、認知症の人が置かれている状況を、AIは即座に分析して、 対応方法を提示してくれるかもしれません。 ケアマネジャーのケアプランも、AIならあっという間に作ってしまうかもしれません。 確かに業務量を減らすことに貢献できる! スタッフの負担軽減に繋がるのですから! でもね、どうなんでしょう? 認知症の人との関り 色々な記録関係や情報収集はAIに任せたとして、 やはり認知症の人と直接かかわる介護者は、「人と人」の繋がりから来る コミュニケーション技法などを、マニアックに学んでいかなければならないと思うのです。 そう、マニュアルワーク(手作業)なところがあるのが認知症ケアとも言えます。 あまりにもAIに頼りすぎると、人間は「考える」ことをしなくなり、 気が付けば、AIの言いなりになっている、ということにもなるかもしれませんね。 認知症ケア学会では、どのような話が聞けるのでしょうか? 写真は、幻のアジサイと言われている「シチダンカ」です。
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2024.06.10

トピックス
~心が揺れる~ 家族会より 認知症の人を介護する家族の会「ほっこりなつどい」が開催されました。 今回は8名の方が参加されました。 娘、息子、夫、妻、嫁という様々な立場の方が参加されました。 個々それぞれの思いを打ち明けられていましたが、 共通していたのは、 「わかってはいても、つい怒ってしまう」と言うことです。 そしてそのあと、怒ってしまった自分を責めているのです。 そりゃそうですよね。 日頃から様々な認知症状に悩まされている介護者からすると、 ついついイラっとしてしまうことは当たり前と言えるでしょう。 そしてイラっとしてしまった自分を責める。 介護者にとっては逃げるに逃げられない状況の上、 毎日のこと。ついつい怒ってしまうことはあるでしょう。 「怒ったらあかんとわかっていても、怒ってしまう。」のです。 介護者の心は揺れまくりです。 また家での介護に限界を生じたときどうするか 家族の大いなる悩みは、「入所を考えるのか」 「入所後後悔しないだろうか」という 入所か否か、さらに入所してもらって、はたして心は落ち着くのだろうか? そんな悩みに心が揺れているという話も何人かから聞かれました。 施設入所させることに対する罪の意識のようなもの そして施設入所しても、そのような意識が続くのではないか… とても大きな家族の決断と悩みと言えるかもしれません。 心の揺れは、どのような決断をしたとしても続くのかもしれません。 ひとつ大事なことは、介護者(家族)が倒れたら、 当事者共々大変な状況になってしまうということです。 介護者にも介護者の人生があります。 自分の時間が欲しいということがいくらでもあると言えるでしょう。 介護者自身の人生も大切にすること。 それが第一でしょう。 しかし、心の揺れはどのような状況であれ、ついて回るかもしれません。 その心の揺れを受け止め、支えることが専門職の役割でもあるのです。
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2024.06.03

トピックス
靴の履き間違えから ~「なんでも包括」の背景にあるもの~ 靴を履き間違えてお出掛けしたことはありませんか? 例えば、他人の靴を履いて帰るとか、左右別の靴を履いていくとか… 幸い私はまだそのようなことはありませんが、 いつやってしまうかもしれない出来事なのです。 最近訪問先で、靴を間違えて履いて帰ったという職員の話を聞いて思い出したことがありました。 私が大阪市の地域包括支援センターに在籍していた頃です。 地域のある開業医から電話が入りました。 「患者のAさんが、別の患者さんの靴を履いて帰った、家に行って取り戻してほしい。」 という内容でした。 「なんでも包括」と言われるように、最近は多種多様なことで包括に電話が掛かってきます。 この時も、「なんやねんこのドクター、そんなことで電話してくんな!」と思いました。 頭の中では愚痴と文句が溢れてましたが、 もしかしたら認知症状がある方かもしれないと思い、訪問することにしました。 この街のシンボル「見返りトミー」   Aさんは独り暮らしなのですが、自宅を訪問すると、黒ピカの靴が一杯玄関にありました。 ドクターからエナメルの黒い靴と聞いていたのですが、 どれが病院から履いて帰って来たのかわかりません。 ご本人はとても陽気な女性で、 「そうか、すまんすまん、どれが履いてきた靴かわからんわ。みんな持って行ってええよ。」と言われたのです。 どうやらAさんはきれいな靴を見かけると、 自分の汚れた靴を置いて、きれいな靴を履いて帰ってくるようです。 仕方なく私は、きれいな靴を全部持って開業医のところへ行ったのですが、 「他人が履いた靴なんかもう履けない。」と患者が言っていたので、 もういいよとのドクターからの返事でした。 ムカッと来た私でしたが、本人が置いていった汚れた靴をプラスして、Aさんの家に帰りました。 これがきっかけで、Aさんと関わるようになり、 認知症状が明確に出ていることがわかり、支援が必要なところがいくつもあったため、 介護サービス導入へと繋がっていったのです。 最初は「間違った靴を取り戻してほしい」というドクターからのとんでもない電話でしたが、 結果、独居の認知症高齢者の支援に繋がりました。 「なんでも包括」は困ったものですが、 中にはその背景に支援と繋がるものが隠れているとも言えます。 因みにこの開業医とは、このことがきっかけになり、 その他のケースとも気軽に連携が取れるようになりました。 ある意味Aさんの行動が、色々な人とのつながりを生み出したとも言えます。 Aさんはお散歩好きで、道端で会うこともありました。 「これから、がんこへ(がんこ寿司)食べに行くねん。一緒に行こか?」と言われたことがあります。 陽気なAさんでしたが、その人生のラストシーンは哀しいものでした。
ブログ投稿画像 地域住民向け認知症サポーター講座に行ってきました。 最近は地域からの要望が多いですね。 16年後には、認知症予備軍の人も含めて3人に1人が認知症になると言っても、 やはり参加される方は、今が心配なのです。 高齢の方の参加が多い場合、 通常のサポーター講座の内容では心にヒットしないかもしれません。 高齢でない方が受講者の場合、 認知症の人への理解を、ある意味「他人事」だからこそ学びになるところがあります。 ところが、高齢者が受講者の場合、認知症は決して「他人事」ではなく、 「自分事」として捉えるでしょう。 自分は他人事でありたいと思っていても、自分事としてまじかにあるものなのです。 その不安は、若い人以上に感じるところがあるでしょう。 [caption id="attachment_5731" align="alignnone" width="2560"] この後さらに参加者が増え、満席になりました。[/caption]   サポーター講座はどこか「他人事」から入るところがあるとも言えます。 そう、認知症は他人事だからこそ、認知症の人への理解の学びを実践するのです。 しかし、高齢者が対象の場合、すぐ隣りにいる「自分事」への不安に対する 受容が必要になるでしょう。 さらに、何とか他人事でありたいという思いが、認知症にならないための 予防法を知りたいと思うのは、当然のことだと言えます。 型通りのサポーター講座ではなく、 受講者の状況も見ながら、受講者の不安も受け止めた サポーター講座にしなければならないと、 日々思うのです。  
ブログ投稿画像 道に迷っている認知症の人にあたたかい声掛けをする訓練 「第8回英田南校区安心声掛けつながり訓練」が6月22日に開催されました。 「認知症でも大丈夫!自分力とお助け力でつながるまちづくり」をスローガンに、 この訓練を始めて9年になります。 [caption id="attachment_5708" align="alignnone" width="1600"] 80名以上の地域住民の方が参加してくれました[/caption]   コロナの時は中止もありましたが、小規模実施で続けてきました。 英田南校区では、第8回目になる訓練は、 地域住民の方が90名近く(認知症役を演じてくれた5名の方を含む)参加してくれました。 [caption id="attachment_5702" align="alignnone" width="1600"] オレンジチームの紹介もしてもらいました[/caption]   会場はアーバンチャイルドこども園の大ホールをお借りして実施しました。 社協さんや市の地域包括ケア課、河内警察署などのネットワーク委員をはじめ、 各町会の町会長や民生委員さんの協力もいただき、 安心して暮らせる、顔が見える関係づくりの場になればとも思います。 [caption id="attachment_5703" align="alignnone" width="1600"] 道迷いの人だけでなく、いつもと違う元気のない人への声掛け法も見てもらいました。[/caption]   また今回は、道迷いの人だけでなく、これまで元気だった人が いつもと違うな? ちょっとおかしいかな?と、 「ちょっとしたおせっかい」も認知症の早期発見につながると、 声掛けの練習をしてもらいました。 [caption id="attachment_5707" align="alignnone" width="1600"] 河内警察署にもおはなししてもらいました[/caption]   それにしても、認知症役を演じてくれた地域住民の方、 皆さん、迫真の演技でした。 認知症の人の思いに最も近づき、 かつ、どのような声掛けをされたら安心するのか、 それを肌で感じられた、今回一番得した人たちだったのではないかと思います。 ありがとうございました。 [caption id="attachment_5704" align="alignnone" width="1600"] 捜索開始です[/caption]   子どもさんたちも参加され、元気よく声を掛けてくれてましたね。 そして訓練終了後は、みんなで食するカレーライスタイムの復活です。 [caption id="attachment_5717" align="alignnone" width="1600"] 子どもさんも元気に参加してくれました[/caption]   なお、今回の訓練の様子は、7月3日のJコム「虹色ネットワーク」の中で 放送されます。 以下、訓練の様子の写真です。 [caption id="attachment_5709" align="alignnone" width="1600"] 声掛け訓練中。本当は取り囲むのは✕ですが、今回は訓練なので。[/caption] [caption id="attachment_5710" align="alignnone" width="1600"] 子どもたちも一生懸命声を掛けてくれました[/caption] [caption id="attachment_5711" align="alignnone" width="1600"] 認知症役を演じてくれているのは、地域住民の方です[/caption] [caption id="attachment_5712" align="alignnone" width="1600"] ゆっくりとあたたかく、声を掛けていきます。認知症役は地域住民の方です。[/caption] [caption id="attachment_5713" align="alignnone" width="1600"] 認知症役の地域住民の方、迫真の演技でなかなか見つけることができませんでした。その間、実際の方と遭遇。[/caption] [caption id="attachment_5714" align="alignnone" width="1600"] 一生懸命声を掛けてくれる参加者です。[/caption] [caption id="attachment_5716" align="alignnone" width="1600"] 場所を提供していただいたこども園の園長先生にもコメントいただきました。[/caption] [caption id="attachment_5715" align="alignnone" width="1600"] 連合会長の寺尾会長からもあたたかいコメントをいただきました。[/caption]    
ブログ投稿画像 今年も認知症ケア学会開催ですね。 場所は東京 テーマが「AIと認知症」 ついに認知症の世界にも、AIが来たかという感じですね。 でもね、なんか違和感があるのですね。 もちろんAIを否定しているわけではないのですが、 また、このご時世ですから、活用できるところはドンドン使っちゃおうでいいと思います。 例えば、認知症の人が置かれている状況を、AIは即座に分析して、 対応方法を提示してくれるかもしれません。 ケアマネジャーのケアプランも、AIならあっという間に作ってしまうかもしれません。 確かに業務量を減らすことに貢献できる! スタッフの負担軽減に繋がるのですから! でもね、どうなんでしょう? 認知症の人との関り 色々な記録関係や情報収集はAIに任せたとして、 やはり認知症の人と直接かかわる介護者は、「人と人」の繋がりから来る コミュニケーション技法などを、マニアックに学んでいかなければならないと思うのです。 そう、マニュアルワーク(手作業)なところがあるのが認知症ケアとも言えます。 あまりにもAIに頼りすぎると、人間は「考える」ことをしなくなり、 気が付けば、AIの言いなりになっている、ということにもなるかもしれませんね。 認知症ケア学会では、どのような話が聞けるのでしょうか? 写真は、幻のアジサイと言われている「シチダンカ」です。
ブログ投稿画像 認知症の人を介護する家族の会「ほっこりなつどい」が開催されました。 今回は8名の方が参加されました。 娘、息子、夫、妻、嫁という様々な立場の方が参加されました。 個々それぞれの思いを打ち明けられていましたが、 共通していたのは、 「わかってはいても、つい怒ってしまう」と言うことです。 そしてそのあと、怒ってしまった自分を責めているのです。 そりゃそうですよね。 日頃から様々な認知症状に悩まされている介護者からすると、 ついついイラっとしてしまうことは当たり前と言えるでしょう。 そしてイラっとしてしまった自分を責める。 介護者にとっては逃げるに逃げられない状況の上、 毎日のこと。ついつい怒ってしまうことはあるでしょう。 「怒ったらあかんとわかっていても、怒ってしまう。」のです。 介護者の心は揺れまくりです。 また家での介護に限界を生じたときどうするか 家族の大いなる悩みは、「入所を考えるのか」 「入所後後悔しないだろうか」という 入所か否か、さらに入所してもらって、はたして心は落ち着くのだろうか? そんな悩みに心が揺れているという話も何人かから聞かれました。 施設入所させることに対する罪の意識のようなもの そして施設入所しても、そのような意識が続くのではないか… とても大きな家族の決断と悩みと言えるかもしれません。 心の揺れは、どのような決断をしたとしても続くのかもしれません。 ひとつ大事なことは、介護者(家族)が倒れたら、 当事者共々大変な状況になってしまうということです。 介護者にも介護者の人生があります。 自分の時間が欲しいということがいくらでもあると言えるでしょう。 介護者自身の人生も大切にすること。 それが第一でしょう。 しかし、心の揺れはどのような状況であれ、ついて回るかもしれません。 その心の揺れを受け止め、支えることが専門職の役割でもあるのです。
ブログ投稿画像 靴を履き間違えてお出掛けしたことはありませんか? 例えば、他人の靴を履いて帰るとか、左右別の靴を履いていくとか… 幸い私はまだそのようなことはありませんが、 いつやってしまうかもしれない出来事なのです。 最近訪問先で、靴を間違えて履いて帰ったという職員の話を聞いて思い出したことがありました。 私が大阪市の地域包括支援センターに在籍していた頃です。 地域のある開業医から電話が入りました。 「患者のAさんが、別の患者さんの靴を履いて帰った、家に行って取り戻してほしい。」 という内容でした。 「なんでも包括」と言われるように、最近は多種多様なことで包括に電話が掛かってきます。 この時も、「なんやねんこのドクター、そんなことで電話してくんな!」と思いました。 頭の中では愚痴と文句が溢れてましたが、 もしかしたら認知症状がある方かもしれないと思い、訪問することにしました。 [caption id="attachment_5662" align="alignnone" width="1024"] この街のシンボル「見返りトミー」[/caption]   Aさんは独り暮らしなのですが、自宅を訪問すると、黒ピカの靴が一杯玄関にありました。 ドクターからエナメルの黒い靴と聞いていたのですが、 どれが病院から履いて帰って来たのかわかりません。 ご本人はとても陽気な女性で、 「そうか、すまんすまん、どれが履いてきた靴かわからんわ。みんな持って行ってええよ。」と言われたのです。 どうやらAさんはきれいな靴を見かけると、 自分の汚れた靴を置いて、きれいな靴を履いて帰ってくるようです。 仕方なく私は、きれいな靴を全部持って開業医のところへ行ったのですが、 「他人が履いた靴なんかもう履けない。」と患者が言っていたので、 もういいよとのドクターからの返事でした。 ムカッと来た私でしたが、本人が置いていった汚れた靴をプラスして、Aさんの家に帰りました。 これがきっかけで、Aさんと関わるようになり、 認知症状が明確に出ていることがわかり、支援が必要なところがいくつもあったため、 介護サービス導入へと繋がっていったのです。 最初は「間違った靴を取り戻してほしい」というドクターからのとんでもない電話でしたが、 結果、独居の認知症高齢者の支援に繋がりました。 「なんでも包括」は困ったものですが、 中にはその背景に支援と繋がるものが隠れているとも言えます。 因みにこの開業医とは、このことがきっかけになり、 その他のケースとも気軽に連携が取れるようになりました。 ある意味Aさんの行動が、色々な人とのつながりを生み出したとも言えます。 Aさんはお散歩好きで、道端で会うこともありました。 「これから、がんこへ(がんこ寿司)食べに行くねん。一緒に行こか?」と言われたことがあります。 陽気なAさんでしたが、その人生のラストシーンは哀しいものでした。