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2024.05.02

底なし沼と地域包括支援センター(1)

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認知症の教室(一般市民用)

認知症の教室(専門職用)

先日の新聞に、独居の女性に入院を強く進めていたが、
猫の世話をしなければならないから絶対入院はしないと言われて、
困ってしまった地域包括支援センターの管理者の話が載っていました。
愛護センターに当たるもなかなか保護してくれる場所は見つからず、
仕方なくその管理者自身が猫の面倒を見ることにしたとのこと。
包括支援センターはそこまでやらなければならないのか? という感じですね。
しかし、このような話は地域包括支援センターがよく直面する話でもあるのです。

地域包括支援センターは、行政から委託され、また査定もされる立場にあります。
また行政にとってはこれまで自ら受けていた「煩わしいケース」を、
包括支援センターに回すことができます。(辛辣な言葉の使用はやめておきます) 
包括には何と言っても、専門職が配置されているからです。

しかし、その行政も含めて、高齢者の相談は、「なんでも包括へ」というケースが増えてきています。
地域の方も包括支援センターの存在がわかり始めると、
介護以外のことでも包括センターに言って来る人が増えてきています。

例えば、ご近所トラブル。介護保険に関係のない苦情や相談も寄せられます。
高齢者に関わることなら、どんなことでも包括へという感じです。

ところが包括は、虐待をはじめとして、困難度の高いケースとの関りをはじめとして、
地域との関係づくりも行わないといけません。
さらに誰も行きたがらないようなゴミで溢れた家や、
ゴキブリ等の害虫が走り回る家にも時には突入しなければなりません。
特殊詐欺の予防にも動きます。
また自治体によっても違いますが、支援ケースを多く受けなければ採算が取れない包括もあります。
またご近所トラブルの背景には、支援が必要なケースが隠れているかもしれないので、
むげに断ることもできません。

そして「万能な高齢者相談所」として捉えられた包括支援センターが、
知らないことがあったり、そこまではやれないと断ったりしたりすると、
「あそこの包括はあかん」と、レッテルが貼られます。
確かにそう言われても仕方のない包括もあるかもしれませんが。

しかしながら「包括支援センター」は、困った状況の人を受け入れ、
何とかする最後の砦とも言えます。
行政も動けない(動こうとしないとも言える)ような状況の人でも、
「なんとかする」というプライドが包括にはあります。
ところがそのプライドが自らの負担を大きくしてしまうこともあるのです。
底なし沼に足を突っ込むことになりかねないのです。
泥沼にはまる包括職員になりかねない危険性をはらんでいるとも言えます。

(つづく)