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2023.05.10

認知症と音楽(7) 脳の疲労がもたらすもの

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認知症の教室(一般市民用)

認知症の教室(専門職用)

認知症による神経細胞のダメージは、日常生活の多大な支障をもたらします。
ある日突然、目の前にあるものが、
食べ物と認識できても、食べ方がわからなくなるのです。
その食べ方がわからなくなる恐怖は、想像を絶するものがあります。

このように、日常生活で普通にできていたことが、
まるで突然もぎ取られるようにできなくなっていくのです。

認知症の人はそのような恐怖と不安と闘いながら、
それでも生きていかなければならないため、
残された能力(神経細胞)をフルに使っているのです。
そのため脳疲労を起こしやすくなります。

私たちも脳が疲れると、怒りっぽくなったり、何もしたくなくなったりするように、
認知症の人はさらにそのような状況にさらされます。
或いは、寝起きの時など、私たちもボーっとする時があるように、
情報不足判断不足の認知症の人は、
不安が増長し、混乱した行動に繋がることがあります。

このように、必死に脳を働かせている状況なので、
さらにその上に、「これやって、あれやって」と言われたりすると
混乱に拍車をかけるでしょうし、
或いは逆に放置されることも不安な世界に埋没してしまうことになるでしょう。

前回にも書きましたが、認知症の人は自分から脳をリラックスさせるために動くことが出来ません。

正確には、食べる(異食を含む)、集める(様々なものを取り込む)、
歩く(私たちが徘徊と捉えているもの)、叫ぶ、怒鳴る(私たちが不穏行動と捉えているもの)などの行動は、
本人たちにとってストレス軽減のためのコーピング行動とも言えます。
つまり私たちからはBPSD(行動心理症状・以前は問題行動と呼んでいた)に見える行動で、
なんとか自分の中のストレスを軽減させようとしているのです。

私たちに置き換えて考えてみてください。
私たちは脳疲労を起こした時、それぞれの人なりにそのストレスを軽減させるための対応を行います。

好きな歌手の歌を唄ったり、趣味に没頭したり、美味しいものを食べたり、
買い物したり、旅行に行ったり、ゲームをしたり… 
人それぞれに解消法を用意しています。
(それをもできなくなる人は、専門家の関りが必要になりますが)

逆に疲れているときに、あれやこれや言われたりすると、
私たちだって、イライラしたり、怒りやすくなったりします。
(何故か私たちのその行動にはBPSDとは言わない。
それなのに認知症の人の行動にはBPSDだ!と言って特別視するのは、
認知症の人への敬意のなさともいえるかも)

メタ認知力」を身につけよう
フリーソフトいやすとやさんより

 

しかし、認知症の人は、自らストレス軽減のための行動をとることが出来ません。
本人ができるストレス軽減は、私たちから見たBPSD行動なのです。

ですから、周囲にいる者が、認知症の人の脳疲労を軽減させる方策を考えなければならないのです。

今回のテーマである音楽はその一つであり、脳はリラックスすることによって、
まだ活き活きと活動している残された脳の部分の活性化へとも繋がっていきます。

(つづく)