2021.07.10 | トピックス, 必見!最新情報, 認知症の教室(一般市民用), 認知症の教室(専門職用)
「アドボケーターについて」(その2)ケア従事者の使命
2021.07.16
認知症の人の気持ちをどう理解する?(1)
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認知症の教室(専門職用)
センター長の石川です
認知症の人であってもなくても、そもそも相手の気持ちを理解すると言うのは至難の業です。
基本、人の気持ちは簡単にわかるものではないですね。
それにはまず、自分自身の問題があります。
一人ひとりの中には自分自身が住んでいますよね?
当たり前の話ですが、それぞれの人にそれぞれに個性があるように、
私たちの中には、様々な価値観や意志、趣味嗜好から好き嫌いまで、
自分のパーソナリティを形作るあらゆるものが詰まっています。
つまり私たちの頭の中には、自分自身が一杯詰まっているので、
本来人の思いを受け入れると言うのは、とても苦手なのです。
ですから、この仕事でよく言われる
「相手の立場になって考えなさいとか、相手の気持ちを受容しなさい」とかいうのは、
実はできなくて当たり前なのです。
認知症の人の気持ちを理解するのは、さらに次元が高いと思ってしまうかもしれません。
ところがこの対人援助職と言う仕事は、他の人の考えや思いを受容すると言う、
とんでもないことをやっていかなければなりません。
まして、コミュニケーションもできない認知症の人の理解となると、
めちゃくちゃ難しいものに思えてしまうのです。
さて、困りましたね。
本来私たちは、人の思いや感じていることを受け止めることが苦手なのに!
だからこそ、私たちには「対人援助技術」という、技術を持つことで、この苦手な壁を越えていけるのです。
また、認知症の人の状況を理解できれば、それ程難しいものでもありません。
では「技術」ってなんだ?
例えば、運転が全くできなかった人が、教習所に通い、運転技術を学び、
そして実際の公道を走ることで運転技術を向上させていきます。
それと同じことです。
少し学べば、そして柔軟な思考を持てば、「対人援助技術」は少しずつ身に付いていきます。
運転が公道を走れば上達していくように、「対人援助技術」もケアの現場の中で上達していくのです。
特に介護福祉士などの有資格者は、運転で生計を立てているプロドライバーと同様に、
プロとしての技術を身に着けていかなければならないのです。
そう言われると大変だと思いますが、
私たちには強力なトレーナーがいます。
私たちの対人援助技術の上達を手助けしてくれる、
利用者(認知症の人)という強力なトレーナーがいるのです。
(つづく)