2019.12.16 | トピックス, 心の荷物預かり所
1秒を実感する瞬間
2020.01.28
最後だとわかっていたなら
心の荷物預かり所
センター長の石川です
先日、神戸ノエビアスタジアムで、ラグビー神戸製鋼と新日鉄釜石のOB戦がありました。
50~60歳代のオールドラガーマンが試合を行ったわけですが、
その趣旨は、お互いに震災があった地域としてその体験を忘れず、結びつきを深め、ともに歩んでいこうというものでした。
この時期に来ると思い出す詩があります。
阪神・淡路大震災の時、その男性は倒壊した家の瓦礫の中から小学生の娘を救い出します。幸運にも助けられた命でした。
時が経ち、その娘さんは仙台にお嫁に行きます。子どもが出来たとの知らせに初孫の顔が見られると男性は楽しみにしていました。
しかし、東北の大震災は、阪神の震災を生き抜いた娘さんの命を津波と共に奪ってしまったのです。
悲嘆にくれるその男性が出会ったのが、ノーマ・コレット・マレックさんの詩だったのです。
私たちは日々この日この時を大して意識せずに暮らしています。
時に大げんかをしてしまった人もいるかもしれません。しかしそれがもし最後だったとしたならば、大ゲンカしたことが最後の記憶になります。
自分の感情にまかせて怒ってしまった時、もしかしたらそれがその人への最後の記憶になるかもしれません。そしてその記憶はずっと自分を苦しめることかもしれません。
忙しさを理由に、その人の最後の願いになってしまったことを聞いてあげられなかったとき、それは一生悔やむことになるかもしれません。
私たちの仕事に通じることでもあるのでしょう。
私は研修で、しっとりとした曲とともにこの詩を流す時があります。
今回、曲はありませんが、読んでもらえるだけで、一日一日を大切にしたい、人に暖かくしたいと思うのではないでしょうか。
「最後だとわかっていたなら」
あなたがドアを出ていくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて
キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう
あなたは言われなくとも
わかってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい
「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう
たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれが私の勘違いで
今日ですべてが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか 伝えたい
そしてわたしたちは
忘れないようにしたい
若い人にも
年老いた人にも
明日は誰にも
約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを
微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと
だから 今日
あなたの大切な人たちをしっかりと抱きしめよう
「ごめんね」や
「許してね」や
「ありがとう」や
「気にしないで」を
伝える時をもとう
そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を
後悔しないだろうから
ノーマ・ コーネット・ マレック 作 サンクチュアリ出版
「最後だとわかっていたなら」より
佐川 睦 訳