2023.04.19 | トピックス, 必見!最新情報, 認知症の教室(一般市民用), 認知症の教室(専門職用)
第86回認知症ケアネットワーク推進委員会開催されました。
2023.04.20
認知症と音楽(5) 何故音楽が良いのか
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前回の最後に脳をリラックスさせる働きに「デフォルト・モード・ネットワーク」という、
聞きなれない言葉を明示して終わりました。
その「デフォルト・モード・ネットワーク」の説明に繋がるものとして、
まずは脳と音楽について説明します。
なぜそのような話をするかというと、
「認知症の人の脳は、常に緊張状態にある」と言えるからです。
その緊張状態を緩和させるものとして音楽があるのです。
音楽と脳の働きについて、
前回紹介しました映画「レナードの朝」の原作者である医師のオリバー・サックス博士が以下のように述べています。
<脳における音楽>
「個別の記憶や、エピソード記憶は失われてしまっても、音楽は残っているのですね。
一般的に音楽の力というのは、多かれ少なかれ病気によって侵食されずに長いこと残っています。」
確かに、意思疎通が厳しくなっても、何かを口ずさんでいる方はおられますし、
私もこれまで何人もの認知症の人が、何らかの音楽は忘れていないことに接しています。
オリバー・サックス博士は次のようにも述べています。
「言語処理の機能は左の前頭葉と側頭葉に偏在しているわけですが、
音楽は、リズム、ピッチ、感情、音程など、さまざまな要素が絡んでいるので、
その処理には実にたくさんの脳の部位が関与しています。
音楽や数学に関する脳の領域は他の分野とは別にあるため、
一般的知能とは別に発展可能なのかもしれない。」
と、述べています。
これは博士だけでなく、脳科学的にも判明しているそうです。
つまり、音楽は認知症状がダメージを受けても、
導き出せるものだし、発展可能なものとも言えます。
現にあるドキュメンタリーでは、アルツハイマー病の方が、
新しい歌の歌詞を覚える(短期記憶がダメージを受けているというのに!)姿を見ました。
これがまさしく、発展可能な領域ということでしょう。
もっとも人それぞれのパーソナリティや認知症状の状況によっても
効果の有無はあると思いますが、少なくとも音楽は、
認知症の人にとってプラス効果をもたらす環境要因と言えるでしょう。
次回は「デフォルト・モード・ネットワーク」について説明します。
(つづく)