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2023.12.07

心理学の概念からひもとく認知症(2)

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認知症の教室(一般市民用)

認知症の教室(専門職用)

前回ビッグファイブ理論の概念について説明しました。

一般的に使用されている性格分析と言えるものなのですが、
脳科学者の恩蔵絢子氏によれば、「心理学的に、その人らしさ」を表すとなると、
このビッグファイブになるだろうとのこと。
しかしそれゆえに、認知症の人をこの理論に当てはめてしまうと、
私たちは大いなる勘違いをするということなのです。

認知症状が表出すると、何よりも「神経症的傾向」の不安や緊張感が増加します。
この不安が増長すると、それまで外向的、開放的であった人の気持ちは萎え始め、
誠実性は自分を苦しめることに繋がり、他者との協調どころではなくなってきます。
つまり、「神経症的傾向」での不安や緊張感が高まると、
どんなに外向的であった人も内向的になり、
開放性も、誠実性も、協調性もダウンしてしまうのです。

そして、それをビッグファイブ理論に当てはめると、
下記のようにその方の性格そのもが、不安症状だけが目立ち、
他の心理的活動が著しくダウンしてしてしまった人間に見えてしまうのです。

そして私たちも、この図の落とし穴にはまった見方をしてしまいます。
認知症の人の神経症的傾向の高まりに伴うBPSDにだけ目を奪われ、
本来ならまだまだ残されているその人らしさ(ダウンしてしまったその他の因子)も見えなくなり、
認知症の人を「ひとりの人」として見ずに
「認知症の大変な人」だけで見てしまいます。

介護者にも心理的影響は押し寄せます。
介護者としての立場からの不安や緊張感が増し、
介護者自身の心理的因子もかなりの影響を受けてしまいます。

誠実性の強い方は何が何でも自分が面倒見なければならないと、
オーバーフローするくらい頑張ろうとするかもしれません。
外向的な人はあれやこれやと聞いたり調べたりに必死になり過ぎ、
逆に内向的な人は、聞くこともできず抱え込むかもしれません。
私たちでも、神経症的傾向が強まれば、他の心理的因子に影響が出るのと同じです。

このようにビッグファイブ理論に当てはめると、人の変化が見て取れます。
しかし反面、ダウンしたり変化した状況だけでその人を見てしまうと、
本当のその人らしさが見えなくなってしまいます。

問題はここからです。
本当のその人らしさが見れるようにするのにはどうしたらよいのか?

そのためには、認知症の人にも、ケアスタッフにも、介護家族にも、
不安や緊張感が増幅した部分へのアプローチとしての、
セキュアベース(安全基地づくり)が必要となります。

(つづく)

 

(参考・引用)

〇恩蔵絢子氏「脳科学から見た認知症」