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2022.01.21

記憶と感情(5)感情のメカニズム

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前回、記憶の殿堂である「海馬」とは別に、感情の殿堂である「扁桃体」が別に存在すること、
そしてその「扁桃体」つまり、感情の方が「海馬」より先に立つ存在なのだということを述べました。

今回も、恩蔵絢子氏の「脳科学者の母が、認知症になる」(河出書房)をベースに説明します。

元々は瞬時に伝達判断する脳の働きを、今回は超スローモーションでの解説になります。

認知症の人とどう関わるか

人間は基本的に自己防衛反応というか、自らの生命を守るという本能があります。
何か嫌な出来事、怖い出来事が怒ったら、
そのことに対して注意を払わなければならないという警戒情報として捉えます。
反対に生命が安心できる事柄に対しても、重要情報として判断されます。
そしてその情報を海馬に送り、記憶して、次に対処できるようにするのです。

つまり、「良い感情であれ、悪い感情であれ、感情のシステムが働いて、これは重要だぞ!という強い感情のシグナルが海馬に届くと、その出来事は、他の何でもない日の出来事よりも強く定着する」(恩蔵絢子氏「脳科学者の母が、認知症になる」P172)のです。
つまり、「ある出来事が起こったら、感情のシステムがいち早く反応し、感情を手掛かりに私たちは物事を分析して理解しようとする。」(P173)ということなのです。

 海馬で記憶する前に、扁桃体で感情を精査しているということなのですね。

記憶と感情
へたくそな図ですが作ってみました。こんな流れになるでしょうか。

 

ですから、例えばケアスタッフとの会話では、日常的な話はあまり記憶に残らないけど、
ケアスタッフに恐怖や不安を感じた出来事や、
生活上安心できる関わりをされると記憶に刻まれやすいと言えます。

在宅の介護家族もついイライラして、本人に強く当たってしまうことがあります。
そしてそのことが印象付けられ、介護家族に対して倍返ししたりします。
その家族は一番頼りたい人だと感じているのですが、攻撃されたと思うと、反撃してしまうのです。

(つづく)